新型コロナ危機で露呈、日本の「国力」と「弱点」 多面的な視点で日本の危機管理能力を検証する

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(写真:Soichiro Koriyama/Bloomberg)

「中国の国力が新型コロナを叩き潰した」

新型コロナウイルス危機発生から1年が経過した2020年12月、AP通信は中国の特集を掲載した。特集は、危機は中国のシステムの強さとダークサイドの両方を映し出したと結んでいるが、いずれにせよ感染はコントロールされ、国内の経済活動が回復しつつある。

ここでいう「国力」とは何だろうか?

アメリカのシンクタンク、ランド研究所によれば、国力を考えるためには、国家を「能力の容器」と見ることから始まる。

その容器に入る能力の諸要素としては、地理、天然資源、工業力、軍備、人口、国民性などが挙げられると、国際政治学者のモーゲンソーは述べる。これらが総体となり、抽象的な「国力」と呼ばれるものとして認識されるというのだ。ただ、それが存在するだけでは意味がない。その力を動員し、発露させることで、国民のための利益を創出せねばならない。

感染症危機管理における4つの重要ポイント

アメリカ軍統合ドクトリンは、「国益を確保するためには、国力を発露させるための手段を使いこなす政府の能力にかかっている」と述べ、その手段を、外交(Diplomacy)、情報(Information)、軍事(Military)、経済(Economy)の4つの分野に分類している。これらを合わせて、10セント硬貨を意味する「DIME」と呼ぶ。

このDIMEというフレームワークは、感染症危機に対抗する際にも適用できる。

各国政府は、国際保健外交(D)、感染症インテリジェンス(I)、感染症危機管理オペレーション(M)、経済活動の維持(E)という4つの手段を駆使し、感染症危機に対抗して国民の命と生計を守るために奔走している。この4つの分野でいかに高いパフォーマンスを上げられるかが、感染症危機に対抗する「国力」として認識されるのである。

新型コロナ危機に関する報道の多くは、感染症危機管理の一部分に焦点を当てているものが多い。しかし、その全体像を捉え、感染症危機管理に関する日本の総合的な国力について評価・検証してみることも重要だろう。 

まずは、感染症危機に対抗する国力発露の手段について、その詳細をDIMEのフレームワークを使って見てみたい。

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