今春、九州地区で新たなプロ野球リーグが開幕した。熊本を本拠地とする火の国サラマンダーズと大分を本拠地とする大分B-リングスの2球団からなる九州アジアリーグだ。一般社団法人 日本独立リーグ野球機構(IPBL)に属するリーグとしては、四国アイランドリーグplus、ルートインBCリーグに続く3つ目のリーグになる。
新型コロナ禍で船出した新リーグは、何を目指しているのか。代表理事の田中敏弘氏に話を聞いた。
「独立リーグ」を名乗らない理由
「IPBLに加盟してはいますが、うちは独立リーグとは名乗っていません。“独立”というのは、日本のプロ野球リーグ(NPB)から独立したリーグという意味ですが、私はそれを意識していません。九州に新たなプロ野球のリーグができたという認識です。プロ野球との関係や、他の独立リーグとの連携ももちろん大事ですが、九州にできたこのリーグからどんなことができるか、私はそれを考えています」
このコメントからは、田中氏の並々ならぬ意気込みが見て取れる。その背景には「野球人」として積み重ねてきた田中氏のキャリアがある。
これまでの独立リーグの運営者や球団経営者の多くは、地域の一般企業の経営者やサラリーマンだ。スポーツチームの運営の経験がない素人が多い。また本格的な野球経験がある人も少ない。
しかし田中氏はこうした経営者とは一線を画する。九州学院高時代の1987年には夏の甲子園に出場。2回戦で野村弘樹、立浪和義らのPL学園に2-7で敗退。明治大学に進み、内野手として活躍。
さらに日本通運浦和(のち日本通運)でもプレー。1994年社会人野球日本選手権で、日産自動車を下して優勝したメンバーの一人となっている。
2000年に引退後は、郷里熊本でスーパーマーケット、株式会社鮮ど市場の経営者となるが、2005年に社会人野球の「熊本ゴールデンラークス」を創設、翌年から日本野球連盟に加盟し、都市対抗野球や社会人野球日本選手権にも出場。4人のプロ野球選手を輩出するなど、九州地区の強豪として活躍した。
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