「ダイバーシティ」の目的は多様性を企業の成長に結びつけること--第3回ダイバーシティ経営大賞・パネルディスカッション
東洋経済は3月17日、「受賞企業担当者と考えるダイバーシティ成功のポイントと課題」というテーマで、第3回「ダイバーシティ経営大賞」受賞企業のダイバーシティ推進担当者によるパネルディスカッションを行った。その模様を紹介する。
【パネリスト】
●ソン・ドンオン(P&Gジャパン ヒューマン・リソーシズ ディレクター)
●村瀬理紗(大和証券グループ本社 人事部ワーク・ライフ・バランス推進課 課長代理)
●本井稚恵(アクセンチュア 公共サービス・医療健康本部 エグゼクティブ・パートナー)
●中田るみ子(ファイザー 医薬開発部門人事部 部長)
●梅田恵(日本IBM 人事.ダイバーシティ&人事広報部 部長)
●渥美由喜※(東レ経営研究所 ダイバーシティ&ワークライフバランス研究部長)
【司会】
●堀井紀壬子※(NPO法人GEWEL代表理事)
=敬称略、役職は2010年3月17日時点、※は「ダイバーシティ経営大賞」審査委員
司会(堀井) それでは、各パネリストから各社の事例をご説明いただきます。まずP&Gのソンさまからお願いします。
■P&G すべての社員が最大限の能力を発揮できる組織を目指す
ソン(P&Gジャパン) P&Gのソンです。ダイバーシティはP&GのDNAです。当社の企業理念「PVP」の行動原則の1つ目は、「私たちはすべての個人を尊重します」です。個人はそれぞれ違うのが当たり前で、その違いを尊重するのが当社の理念です。
P&Gにとってダイバーシティは企業戦略の一環です。当社では、上級管理職の業績評価にダイバーシティの推進結果も含みます。ダイバーシティ推進に取り組む最大の理由はさまざまな異なるアイデアがぶつかり合うことで、イノベーションが起こるからです。
さらに、男女差や国籍などの違いを超え、最も優秀な人材を採用できること。社員それぞれが持っている強みを活かし、最大限の能力を発揮できる組織環境ができること。これらを可能にすることで、P&Gの競争力が高まると考えています。
ダイバーシティのビジョンとして、「すべての社員が最大限の能力を発揮できる組織の構築」を掲げています。これには2つの戦略があります。1つは、全世界のP&Gで現地採用者が管理職のポジションに就けるように育成していくこと。もう1つが、女性社員の定着率を向上し、管理職を育成することです。