一見ムダな仕事がカフェを繁盛店にした理由 無意識に訴えかけるシグナリングの強力な魔力
閉店してしまった店と繁盛店のささいな違い
数年前、私の家から1キロちょっと離れた、かなりにぎやかな通りにカフェがオープンした。店内には20ほどの席があり、外の舗道にはいくつかベンチが置いてあった。悪くないカフェだったが、やがてつぶれてしまった。新しい人が店を買い取り、前と似たような方法で経営していたが、それもまた閉店してしまった。
そんなわけで、店舗を引き継いだ3番目の店主が同じ経営方法に頼るのは自信の持ちすぎじゃないかと思われたが、彼らは奇跡的にも成功するビジネスを生み出したのだ。料理や価格は前の店のものとあまり変わらないように見えた。それどころか、以前の店との唯一の変更点はごくささいなことに思われた。
今度の店は前よりも魅力的な椅子とテーブルを購入し、1日の始まりにそれを店の外に置いた。そして椅子やテーブルのまわりに人の腰あたりの高さの金網フェンスをめぐらせ、そこを一種のテラスにしたのだ。これは前の店のようにベンチを据えるよりは効率が悪かった。この移動式(したがって盗まれやすい)の家具は毎日閉店後にしまわなければならず、毎朝また並べなければならなかったからだ。
しかし、新しい店が成功した理由はまさにこの変化にあると私は考えている。
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