新しい生活様式が生む「売れる」「売れない」の差

売れる「こだわり食材」、売れない「口紅」

直近の消費財の販売動向から浮かび上がってきた、「新しい生活様式」がもたらした消費者の変化とは?(左写真:Yulia_Lisitsa/PIXTA、右写真:Satura/PIXTA)

新型コロナウィルス感染拡大の長期化に備えて、政府は国民に対して「新しい生活様式」を取り入れるよう、呼びかけている。しかし、このような呼びかけの前から、すでに消費者は「新しい生活様式」を取り入れ始めているようだ。

コロナ禍を経て、私たちの生活様式にいかなる変化が生まれているのか。小売店の販売動向データを踏まえて確認していきたい。

「口紅」と「マスカラ」の差を生んだ要因

市場調査会社のインテージが4月第3週の販売動向まとめた「新型肺炎 カテゴリ動向レポート」によれば、前年比で推計販売金額が下落した品目「ワースト30」のうち、12品目が「化粧品」に分類される商品群だった。

全品目中で販売金額が最も下落したのは、前年比▲77.8%の「鎮暈剤」、いわゆる酔い止め薬だ。これに続く形で「口紅」(▲72.5%)が2位にランクインした。ほかにも「ほほべに」(▲53.7%)、「ファンデーション」(▲51.0%)といった化粧品のが目立つ。「化粧下地」「美容液」「アイシャドウ」といった定番の化粧品も押しなべて前年比で▲30〜▲40%程度、売り上げが落ち込んでいる状況だ。

このデータからは、まず「新しい生活様式」として「化粧レス」の動きがある様子がうかがえる。その理由として、「リモートワークや外出自粛によって化粧をしなくてもよくなった」ということで片付けてしまいがちである。しかし、それだけではうまく説明がつかない、違和感のある化粧品がある。

「口紅」だ。化粧品の中でも、「口紅」が前年比で▲72.5%とずば抜けて売り上げを落としている。パーソル総合研究所の調査によれば、4月10〜12日におけるテレワークの実施率は全国平均で27.9%にとどまっており、多くの従業員は出社している状況だ。

また、「口紅」は「日焼け止め」(▲66.7%)を上回るペースで売れ行きの鈍化が進んでいる。これらの事実から、テレワークや外出自粛以上に売り上げを落とす要因が「口紅」にあると考えられる。

その要因はマスクにあると筆者は考える。コロナ感染のリスクを抑えるために、巷では多くの人がマスクを着用して外出をしたり、仕事をしたりしている。着用している間は、顔面の大部分がマスクに覆われる形となる。

とりわけ「口紅」は、昼時以外はほとんど人の目にとまることもない。その結果、テレワークをしていない従業員であっても口紅を使用しない事例が増加している、という仮説が成り立つ。

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