「菌活」で免疫力アップ!キノコが異例の品薄 コロナで需要増えスーパーでは引っ張りだこ

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免疫力アップに効くとされる、キノコへの需要が急激に増している(写真:ocsa / PIXTA)

「4月に入って、昨年の同じ月と比べて、2~3割は売り上げが伸びている」━━。食品スーパー「ライフ」の青果売り場は、キノコ類の品ぞろえ確保で連日忙しい。

キノコ類は、腸内の善玉菌を増やす水溶性食物繊維が豊富で、免疫力アップに役立つ。しかも手頃な価格で手に入る食材だ。ここにきて、新型コロナウイルス感染予防に有効との観点から、食生活を取り扱うブログなどで従来以上に、キノコ料理が取りあげられる機会が多い。情報に敏感な消費者が食指を動かし、全国的に異例の品薄状態にある。

今回、小売りサイドでは都心部で食品スーパーを展開するライフコーポレーション。生産サイドでは、8道県に生産拠点があるきのこ最大手のホクトに現状を取材、直撃した。

ライフは前年比3割増、ホクトは計画比12%増

ライフコーポレーションは、首都圏121、近畿圏156の計277店舗を展開する、食品スーパー最大手だ。既存店の来客数は3月が前年同月比99.8%だったが、4月は一斉休校や在宅勤務拡大による内食需要の高まりで、同115%増ペースをたどった。そうした中、3月は前年同月と比べて1割ぐらいの売り上げ増だったキノコ類が、4月はさらに伸びて2~3割と売れ行きは絶好調。「免疫力を高めるとの思いが反映されているようだ」と同社は分析する。

一方のホクトは、北海道から福岡県まで、「きのこセンター」と呼ぶ20カ所の生産拠点を有する。1日当たり1工場で8~10トンを生産し、約250万パックを出荷する能力がある。その強みを生かして、全国の消費者に直接供給できる販路を持っている。市場を経由した外食産業向けはわずかしかない。

もっとも四季によって数量・価格ともバラつきがあり、鍋物が旬の秋が繁忙期で価格は高め、夏が不需要期で価格は抑えめだ。2020年3月期の月次売上高状況(速報)だと、2019年11月は53.4億円を売り上げたのに対し、同年7月は32.4億円と大きな差があった。

そして4月10日に発表された2020年3月実績。スーパーへの納入量に変化が起きた結果、会社計画との対比では12%上振れ、42億円と前年同月比では1.8%増を記録。2月が42億円で、前年同月比、会社計画比ともに2.7%未達だったため、異変が起きたと言ってよい。

2月実績発表当時の取材でホクトは「3月に入っても、暖冬で鍋物需要が盛り上がらないまま、野菜相場は安く推移し、キノコの単価は上値が重い。新型コロナによる消費マインド低下も懸念材料」と悲観的だった。が、ふたを開けると「引き合いが強まった。2月末時点と比べ、例年により価格が高めで売れた」と、予想外の結果に驚く。2019年8月以降で久々に前年同月を上回る出荷状況となったのである。

実際、神奈川東部の住宅街にある数店舗について、4月27日までホクト製品を定点観測してみた。東急東横線の元住吉駅から徒歩15分に位置するライフの中原井田店だ。

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