出井伸之「日本はアジアの真価をわかってない」 古希にして起業、83歳元ソニーCEOが語る未来
変化が速いから非連続にならざるをえない
長田 貴仁(以下、長田):出井さんはソニーのCEO(最高経営責任者)に就任された直後の1999年秋に「インターネットは隕石である」と発言し、恐竜を滅ぼした隕石のように、インターネットは既存の産業体系を滅ぼすという認識を示しました。出井さんがCEOを退任し、クオンタムリープを創業した2006年に、私は『ソニー 復活の経営学』(東洋経済新報社)という拙著を上梓しました。この頃は、ソニーに対して厳しい評価が下されていましたが、業績が好転した今、出井さんは、開花させるため種をまいていたのではないか、と再評価する識者の声も聞かれます。
出井 伸之(以下、出井):ソニーに関して、僕は一切コメントしないことにしているんですよ。僕はいつも未来しか考えていないですから。高度経済成長が終わってから久しい今でも、ソニーだ、ホンダだと、戦後誕生し急成長した企業が注目されていますが、そんなのは忘れなきゃだめですよ。
従来の延長線上でビジネスを語るのではなく、これまで培われた経営資源を大切にし、応用しながらも、クオンタムリープという社名が意味する「非連続の飛躍」を実現しなくてはなりません。いや、今は変化が速いですから、非連続にならざるをえません。3年計画なんて立てられないですよね。僕はアメリカと同じスピードで走っています。最新情報を得るために、世界中にいる友達とつねにコンタクトをとっています。昨日もインドの人と話をしていました。
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