出井伸之「日本はアジアの真価をわかってない」

古希にして起業、83歳元ソニーCEOが語る未来

御年83歳の現役経営者がこれからの日本、日本企業の「未来」を語った(撮影:尾形 文繁)
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高年齢者雇用安定法が改正により、2021年4月から企業の努力義務になり「就業者の希望により70歳まで働くことができる」という条項が加わる。
今後、雇用されて働くだけではなく、シニア世代(60歳以上)の起業割合が高くなっていくことだろう。これまでも、シニア起業家には、マネジメント経験がある人の比率が高かった。が、日本を代表するグローバル企業において、創業者ではなく新卒入社、もしくは中途採用の専門経営者(俗にいうサラリーマン社長)が経営経験を積んだ後、退職後、独立し起業するケースは意外にも少ない。
その1人がソニーの社長、会長を10年にわたり務め、退いた直後に、ベンチャー企業を指導、支援する経営コンサルタント会社「クオンタムリープ」を創業した出井伸之氏である。流通科学大学特任教授・事業構想大学院大学客員教授の長田貴仁氏が、「僕はいつも未来しか考えていないですから」と言う御年83歳の現役経営者に、これからの日本、日本企業の「未来」について聞いてみた。

変化が速いから非連続にならざるをえない

長田 貴仁(以下、長田):出井さんはソニーのCEO(最高経営責任者)に就任された直後の1999年秋に「インターネットは隕石である」と発言し、恐竜を滅ぼした隕石のように、インターネットは既存の産業体系を滅ぼすという認識を示しました。出井さんがCEOを退任し、クオンタムリープを創業した2006年に、私は『ソニー 復活の経営学』(東洋経済新報社)という拙著を上梓しました。この頃は、ソニーに対して厳しい評価が下されていましたが、業績が好転した今、出井さんは、開花させるため種をまいていたのではないか、と再評価する識者の声も聞かれます。

出井 伸之(以下、出井):ソニーに関して、僕は一切コメントしないことにしているんですよ。僕はいつも未来しか考えていないですから。高度経済成長が終わってから久しい今でも、ソニーだ、ホンダだと、戦後誕生し急成長した企業が注目されていますが、そんなのは忘れなきゃだめですよ。

従来の延長線上でビジネスを語るのではなく、これまで培われた経営資源を大切にし、応用しながらも、クオンタムリープという社名が意味する「非連続の飛躍」を実現しなくてはなりません。いや、今は変化が速いですから、非連続にならざるをえません。3年計画なんて立てられないですよね。僕はアメリカと同じスピードで走っています。最新情報を得るために、世界中にいる友達とつねにコンタクトをとっています。昨日もインドの人と話をしていました。

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