ダイバーシティは儲かる。本質は「働くにも買い物するにもよい会社」を目指すこと--パク・ジョアン・スックチャ アパショナータ,Inc.代表/ダイバーシティ経営大賞記念講演


 また「正社員と非正規社員」という問題もあります。働いている女性の55%が非正規社員なので、正規の女性社員との葛藤があります。たとえば「正社員の人が私を名前で呼ばないで、派遣さんと呼んだ」など、女性対男性ではなく、違うという面では、女性同士の問題もあるのです。

業界によって、たとえばスーパーは7~8割がパート社員です。つまりパート社員に元気になって能力を発揮してもらわないとそのスーパーは潰れるのです。私が以前お仕事をさせていただいたある中堅スーパーは、パート社員を活用し、パートの店長もいる。そこの社長がおっしゃっていたのは、「うちのパート社員は、仕事が終わって家に戻ったら、うちのお客様になる。だから、彼女たちに商品棚を並べてもらい仕入れも担当させる。消費者側の視点を知っている人に売り手の発信側にもなってもらう」。このスーパーは実際、業績がいいのです。

つまり、企業にとって、ダイバーシティを推進する大きなメリットは、優秀な人材の採用と活用で、決して定着ではありません。優秀な人は会社の競争力や業績を上げるために絶対に必要で、たとえば若いというだけでポジションに就けないとすれば、それは会社の足を引っ張ることになります。

多様で優秀な人材活用のためのダイバーシティ・マネジメント

異質で優秀な人材活用という点では、海外の大手企業のトップを見るとわかりやすいと思います。たとえば、世界最大の通信社ロイターは、2000年初め、変革が必要だとしてアメリカ人をCEOにしました。創業150年にもなるイギリスの大手企業が、初めて外国人で42歳という若さ、しかも記者経験がない人をトップに持ってきた。しかし、彼は期待どおりにいろいろな変革をしてV字回復を実現しました。その社長は、「イギリス人でないから英国に対するしがらみがない。変革にはそれが有力だ」とおっしゃっていました。

女性がフルに活躍している点では、アメリカが秀でていると思います。「フォーチュン500」のランキングを見ると、女性のCEOが増えてきている。2009年にヤフーのCEOが女性になり、デュポンも創業200年を超えて初めて女性のCEOが誕生しました。

では、日本ではどのような人を抜擢して変革するか。私は「年齢」というキーワードがあると思います。少し昔の話ですが、ローソンでは新浪剛史さんという、三菱商事出身でコンビニ業界とは関係のない人が42歳で社長に就任しました。また、エイチ・アイ・エスは2年前、当時40歳の平林朗氏を社長に抜擢しました。彼が社長候補に挙がったとき経営会議では「いくらなんでも若過ぎる。彼にはあと3年経験が必要だ」という声があった。しかし、澤田秀雄会長(当時社長)が「3年待ったら、うちの会社はなくなるかもしれない」と決断して抜擢したそうです。すごい危機感だと思います。

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