ダイバーシティは儲かる。本質は「働くにも買い物するにもよい会社」を目指すこと--パク・ジョアン・スックチャ アパショナータ,Inc.代表/ダイバーシティ経営大賞記念講演

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日本企業もダイバーシティの取り組みが不可欠に

ここまで、アメリカでは人口構成の変化がダイバーシティ導入の大きなきっかけとなったという話をしましたが、今度は日本の人口構成についてクイズを出したいと思います。まず「女性雇用者に占める非正規社員の割合」です。Aは「2人に1人」、Bは「3人に1人」、Cは「4人に1人」。みなさん、どれが正解だと思いますか。答えはA「2人に1人」で、55%です。では、女性の育児休暇取得率がいま上がっていることはご存じだと思いますが、「2008年の女性社員の育休取得率」は何%でしょうか。Aは「70%」、Bは「80%」、Cは「90%」。答えはC「90%」です。

続いて、男性の生涯未婚率です。生涯未婚率というのは、50歳の時点で1度も結婚したことがない人の割合です。1975年、いまから35年前の「男性の生涯未婚率」はどれぐらいだったでしょうか。A「2%」、B「7%」、C「12%」。答えはA「2%」です。98%の男性は結婚していたという、日本は超結婚優秀国だったのです。では、いまはどうなっているのでしょうか。2005年の男性の生涯未婚率はどうか。Aは「7%」、Bは「16%」、Cは「23%」。答えはB「16%」です。

私がここで言いたいことは、やはり日本も変わってきているということです。気がつかない間にこれほどに変わっている。一昔前、雇用機会均等法施行以前の1970年代の職場はどのような人が主流だったか。「結婚して、子どもがいて、専業主婦のいる男性」が企業の中でメジャーな仕事をし、女性は職場の花、腰掛けなどと言われ、結婚イコール辞めるという図式がありました。

ところが、現在は男性も100人に16人が結婚しておらず、ワーキングマザーも増えてきています。外国人を大勢雇っている企業もあるなど、昔の職場とはかなり違ってきています。にもかかわらず、いまの日本はいろいろな制度や仕組みが「結婚して、子どもがいて、専業主婦のいる男性」がいちばん能力を発揮しやすい環境になっている。多様化する社員に合わせて、この部分を変えていく必要があります。そして、これが、日本企業にダイバーシティへの取り組みが必要になっている大きな理由の1つです。

日本でこれから注目を集める可能性が高いものの1つに、エイジダイバーシティがあります。高齢化が進みリタイアしていく人が出てくるのはいいが、産業が高度化しているため、企業はただ若い人がいればいいというわけではありません。優秀な人を必要とします。高齢者でも優秀であれば辞めないで残って働いてほしい。若い人でも優秀であれば、早く出世して活躍してほしい。それができるような環境の整備が、日本でも必要になっていると思います。

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