ダイバーシティは儲かる。本質は「働くにも買い物するにもよい会社」を目指すこと--パク・ジョアン・スックチャ アパショナータ,Inc.代表/ダイバーシティ経営大賞記念講演


ダイバーシティの本質は「働くにも買い物するにもよい会社」を目指すこと

ダイバーシティはアメリカで生まれました。では、なぜアメリカがダイバーシティに積極的に取り組もうとしたのか。その最大の理由は人口構造の変化です。いまから23年前の1987年に、米国労働省が「ワークフォース2000」というリポートを出しました。そのリポートでは、2000年のアメリカの労働人口構成が大きく変化すると予測。簡単に言えば白人男性が劇的に減り、その一方で高齢者や女性、移民、マイノリティが増えるというとても衝撃的な内容でした。

それまで、アメリカでメジャーな仕事をする人は、「白人男性」でした。「男性」だけではだめで、「白人」でないとだめだったのです。ところが、現実が予測のようになっていった。労働者も変わったが、同時に消費者も変わっていった。つまり、労働と雇用という、双方の側面からダイバーシティの重要度が増してきたのです。

また、このリポートが予測したもう一つのことは、産業構造の変化です。そのころからIT化が急速に進んでいます。それまで、なぜ男性がメジャーな仕事をしていたかと言えば、モノづくり時代は肉体労働が中心なので、身体が強い人が勝つ。私たち女性はどうしても勝てなかったのです。ところが、頭脳労働になると互角になります。

そしてダイバーシティを進めた結果として、儲かるようになったのです。ある会社はスパニッシュ地域の営業をスパニッシュに切り替えたら売り上げが何倍にも上がり、チャイニーズコミュニティでチャイニーズを話せる人、チャイニーズのマーケターや営業を配置したら売り上げが伸びた。そういう例が実際いくつも出てきた。

何年か前に、アメリカのダイバーシティフォーラムでIBMの方の講演を聞いたことがありました。そのとき、IBMのプレゼンテーターが「私たちは働くのによい会社と買い物するのによい会社の双方を目指している」とおっしゃいました。これはダイバーシティの本質を突いています。労働者側と消費者側、双方にとって魅力のある企業づくりのためにダイバーシティに取り組み、結果、企業が競争力を高めていくことができたのです。

つまり、なぜアメリカ企業がこうした人権的な社会問題にここまで積極的になるかというと、ダイバーシティは儲かるのです。ですから、リーマンショック以降でも、アメリカ企業は多様な人材を活用しようと積極的に行動しているのです。

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