この1文字で「論語と算盤」の精神がわかる! 3分で解説!なぜ、いま「渋沢栄一」なのか?
『論語と算盤』が出版されたのは大正5年(1916年)です。大正デモクラシーのなかで経済がバブル化し、若い人を中心にして立身出世、金儲けが注目された時代でもあります。そのような時代背景のなかで、栄一は警世の書としてこの本を出したのではないでしょうか。
『論語と算盤』で注目するべきは、「一見して相反する2つを融合させた」ことだと思います。
商売で儲けようと思ったら、「少々、道徳に反することでも、まあ致し方ない。慈善活動じゃないから」などと考えてしまいがちです。逆に道徳ばかりを重視していると、「儲かる案件も儲からなくなる」かもしれません。したがって論語と算盤は相反するものであり、かつ人は少しでも多くの利益を欲するため、商売繁盛を目指すうえでは、どうしても道徳は無視されがちです。
でも、そうではないというのが栄一の考え方です。だから「論語か算盤」ではなく、「論語と算盤」なのです。
ビジネスでもSDGsへの取り組みが求められているいまなら、当然と思えるかもしれませが、渋沢栄一は100年も前に、持続可能な企業や社会のあり方に気づいていたのです。
よい金儲けと悪い金儲け
渋沢栄一のこの考え方を、「倫理的資本主義」と称する人もいるのですが、本人は「道徳経済合一説」と言っていました。ポイントは2つあります。
経営者だけが利益を得るのではなく、社会全体が利益を得る「理念」「倫理」にかなう志の高い経営を行わなければ、幸福は持続しない。
経営者は従業員よりも収入が多いのは当然ですが、あまりにも経営者と従業員の所得格差が広がったり、あるいは社会全般が貧困に陥ったりすれば、いくら大金を稼いだとしても、経営者の幸せは持続しません。社会が貧困になればなるほど、社会情勢は不穏なものになるからです。
もちろん、栄一自身は決してお金儲けを否定したりはしませんでした。
という栄一の言葉があるくらいです。ただし、この言葉の後には、こう続きます。
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