この1文字で「論語と算盤」の精神がわかる! 3分で解説!なぜ、いま「渋沢栄一」なのか?
よく1代で財を成した人に対して、「あいつは成金だからな~」などとさげすみの視線を浴びせるケースがあります。これはたぶんに品位の問題があると思います。1発当ててにわかに大金持ちになったものだから、銀座のクラブで豪遊したり、高級スポーツカーやクルーザーを乗り回したりするなどというのは、まさに品位に欠けた行為と言わざるをえません。
渋沢栄一の場合、もともとお酒が飲めない体質でしたし、時代が時代なので、クルーザーで遊ぶようなこともありませんでした。唯一の道楽は、きっと事業だったのだと思います。
それに、渋沢栄一はいまでいうシリアル・アントレプレナーのようなもので、事業で得た利益はほぼ全額、次の新しい事業に投資することを繰り返していました。なので、結局のところ手持ちのお金は、かなり限られていたと思います。500社近い会社や団体を設立した割には、派手なことは一切しませんでした。自分一人が利益を得て、自分だけがいい思いをすることを、潔しとしなかったのです。
利益はすべて自分のものだとひとり占めすることなく、利益を社会に還元しなければ、経済活動は持続しない。
『論語と算盤』の「処世と信条」は、「論語と算盤は甚だ遠くして甚だ近いもの」という項目から始まります。言わんとすることを意訳すると、次のようになります。
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