(第10回)円キャリー取引とサブプライムのバブル

(第10回)円キャリー取引とサブプライムのバブル

第8回で述べたように、日本とアメリカとの間の国際収支を取り出して見ると、2002~06年の5年間で、日本の経常黒字は、日本からの資本流出より約1500億ドル(約15兆円)大きい(表のA)。同じことが、中国とアメリカの関係でも見られる(差は2000億ドル)。この差は、経常黒字の約3分の1だから、決して小さなものではない。

もちろん、経常収支と資本収支が2国間ごとに一致する必要はない。だから、こうした差が存在することそれ自体が問題であるわけではない。しかし、日本の海外投資の多くは対アメリカ投資なので、対米経常黒字の一部がアメリカ以外の投資に向かっているのは、不思議なことである。実はこの差は、ケイマン諸島などを経由してアメリカに還流している可能性があるのだ。

この推論は、別の面からも支持しうる。つまり、アメリカの国際収支のうち、「その他西半球」(ここにケイマンなどが含まれる)は、ちょうど日本・中国とは逆の形になっているのだ。差は02~06年で7140億ドルである(表のD)。

こうしたルートで移動した資金は、通常の資本取引よりもリスクが高い投資対象に向かったと考えられる。具体的には、サブプライムローンの証券化商品への投資に向かった可能性があるのだ。もちろん、カネに色はないから、直接に関連づけることはできない。しかし、以上で見た数字とサブプライムローンの数字は、かけ離れた数字ではないのだ。

アメリカのモーゲッジローンの統計において「サブプライム」という分類項目はないのだが、FRB担当者の議会証言によると、05年頃において、モーゲッジ全体の2割程度がサブプライムであると見られる。02~06年の5年間でモーゲッジ全体の純増は4兆5126億ドルなので、サブプライムは9025億ドルということになる(表のF)。

この金額は、先に見たアメリカの「その他西半球」からの資金流入とあまり変わらないオーダーの数字だ。そして、これまで述べたところによれば、その約3分の1は日本と中国からの資金供給によって賄われたということになる。


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