子どもをほめるとき極めて効果的なのが「他人にほめてもらう」ことです。つまり、親だけでほめるのではなく、学校や塾の先生などの他人にほめてもらうのです。
「チームでほめる」が重要な理由
例えば、家でピアノの練習をしていて左手の使い方が上達したとします。そのとき、親がほめるだけでなく、ピアノ教室の先生にも「最近、練習を頑張って、左手の使い方がうまくなりました。先生からも、ぜひほめてあげてください。先生にほめられたら大喜び間違いなしです」とお願いするのです。もちろん、ほめるように親から頼まれたことは内緒にしてもらいます。
子どもは左手の使い方について親にほめられ、ピアノ教室の先生という他人にもほめらます。こうなるともう子どもは大喜びで、大いに自信を持つことができ、ますます練習に力が入るようになります。
以上は家とピアノ教室の2箇所でほめる方法ですが、3箇所以上でほめるとさらに効果があります。つまり、複数の他人がほめるということです。
これは私の経験ですが、現役の教師だったとき、あるお母さんから「うちでノートの使い方がうまくなったとほめているんです。先生からもときどきほめていただけるとうれしいです」と頼まれました。
それで、私もことあるごとに「ノートの使い方が上手だね。うまく間を空けてあって見やすいね」「番号を縦横きちんとそろえて書けたね」「隙間を上手に使ってるね」というようにほめました。その子はすごくうれしそうでした。
後でわかったのですが、このお母さんは、なんと、塾の先生にも同じお願いをしていました。つまり、子どもは家と学校と塾で同じことをほめられたのです。もう、子どもは疑いようがありません。まさか、裏で示し合わせているとは思わないわけです。その子は、ノートの使い方に自信を持つようになって、勉強もさらに頑張りだしました。
それで、私はこれはとてもよい方法だと思ったのです。そして、「チームでほめる」と名づけました。
これに関して、私は以前テレビで見たある実験を思い出します。それは、元気いっぱいで何の病気もない人(Aさん)を、会社の同僚がグルになってだますという企画でした。Aさんが出社すると、まず受付の人に「Aさん、今日はちょっと顔色が悪いですね」と言われました。Aさんは笑って、「そんなことないよ。元気だよ」と答えました。
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