ところが、自分のデスクで仕事をはじめたら、隣の同僚に「お前ちょっと、顔色悪いよ。病気? カゼ?」と聞かれました。それで、Aさんはちょっと顔を曇らせて「そんなことないよ」と言ったのですが、さらにトイレで手を洗っているときにまた別の同僚から「お前、顔色悪いよ。病気じゃないのか? 内臓かどこか悪い?」と言われました。
このように3人に同じことを言われて、Aさんは首をかしげたり心配そうに鏡をのぞき込んだりしました。そして、ついには上司のところに行って、「ちょっと今日はすいません。調子が悪いので病院に行ってきます」と言いました。
この実験のように、大人でも3人に言われるとその気になってしまう可能性があるのです。まして子どもの場合は、無関係と思われる複数の他人から同じことを言われ続ければ、疑うことは難しいでしょう。ほめるチームは2人でもいいですが、3、4人になれば効果は絶大です。
まずは、おじいちゃんやおばあちゃん、もしくはきょうだいも動員して家族でほめるチームをつくりましょう。そして、さらに家族以外の他人が入ればなお一層効果的です。ぜひ、親がほめるチームをプロデュースして、みんなで子どもをほめてあげてほしいと思います。
叱るチームをプロデュースしている親や学校も…
ところが、実際はこの逆のことをしている親が多いのです。中には、「うちの子はだらしがないので、先生からも叱ってください」などと、叱るチームをプロデュースしている親もいます。また、スポーツ少年団の監督にわざわざ連絡して、「うちの子はだらしがないから、監督からも遠慮なく叱ってやってください」と伝えた親もいます。
家で叱られ学校で叱られ、あちらこちらで叱られ……。これでは、どんな子でも「ぼくってダメだな」と思い込んでしまいます。先ほどの会社員がカゼだと思い込んだように。
困ったことに学校がそれをプロデュースしていることもあります。「この子の悪いところは学校でも叱りますが、学童クラブや家庭でも協力して同一歩調で対応しましょう。みんなで同じことを叱りましょう」と、叱るチームを作っているところもあります。これでは子どもはたまりません。
人生は思い込みで決まります。「自分は頑張れる。できる」と思えば頑張れますし、できるようにもなるのです。逆に「どうせ自分はダメだ」と思い込んでしまえば、頑張る気にもなれません。ですから、子どもが自分に対するよい思い込みができるようにしてあげてほしいと思います。
そのために、今回紹介した「チームでほめる」を実践してください。ぜひ、実際にほめるチームを作って、子どもがよい思い込みをできるようにしてあげてほしいと思います。
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