不機嫌上司から身を守る「程よい距離の取り方」 自分の心に境界線を引いて、わがままに生きる
私:「人間関係は、お互いに影響しあうものですよね。上司がしょっちゅうイライラしている状況も、仕事では珍しいことではありません。そうなると下の立場の人がダメージを受けやすい。ここからは、自分を守るために、“心の境界線”を意識してみましょう」
A子:「心の境界線ですか」
私:「ええ、心の境界線を引くのは、『わがまま』になる練習です」
A子:「わがまま?上司みたいになれということ?」
私:「いいえ。人をふりまわすわがままではなく、他人に影響されない自分をつくるんです。私たちはみな、あるがままの自分――『わがまま』な自分になれたら、生きづらさを感じなくなるんじゃないでしょうか。そうなれば自分のみならず、相手のことも尊重できます」
A子:「上司のことも尊重できるんですか?」
私:「それはそうです。だって上司の心を勝手に自分のせいにして自分のものみたいに扱ってはまずいでしょう」
A子:「あっ!」
A子さんは、やっとその思いちがいに気づいたようです。
誰の責任かをはっきりさせる
私:「この場合、誰の責任であるかをはっきりさせましょう。それが心の境界線を上手に引くコツであり、上司とほどよい距離をたもつことになります。とはいえ、『上司と部下』という上下関係では、現実問題として、境界線を引くのはたやすいことではありません。最初の一歩は、自分が無理をしない。そして相手への態度や声かけを変えてみること」
そのうえで、A子さんが自分の心を守れるよう、境界線をどのように引いていくかを話し合いました。そして戸惑いつつも、A子さんはその取り組みをはじめたのです。
自分がついつい気をつかいすぎていないか、意識してみましょう。「なんでこんなに気疲れするのだろう」といった不自然な疲れがサインです。気づくだけでも状況は変わっていきます。
「上司のイライラは、上司が処理すべき問題であり、上司自身の責任。自分が背負うべきものではない。それは私のイライラではない」――この言葉を、心の中で何度もとなえることで「責任の境界線」を引きましょう。このとき上司の機嫌は取らず、そっとしておけばいいのです。
「境界線を引く」のは、日本社会において用い方を誤ると、人間関係をぎすぎすさせます。その予防策として、常日頃、上司に対し次のような言葉かけの工夫をこころみましょう。「やっぱり○○さん(上司)のアドバイスは、的確です」「いつも○○さんには助けられてます」「○○さんの姿勢に、いつも刺激を受けてます」など。これは媚びを売っているわけではありません。上司の良いところを見つけ、実際に具体的な言葉で相手をねぎらうのが目的です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら