「ネガティブな想像」実現する確率は1割のワケ それでも人々はなぜ不安になってしまうのか

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「不安に思っていることが実際には起きない」と言われてもなお、なぜ不安に思うことをやめられないのか? それは「実際には起きないという実感がないから」です。では、なぜ実感がないのか?

それは、不安に思ったことが実際にはほとんど起きないので、不安に思ったこと自体を忘れてしまっているから、です。さらに、不安に思っていたことを忘れては、また新しい不安が襲ってくる。そして、また実際に起きなかったから忘れる。そして、また新しい不安が……ということを繰り返し、「いつも不安」な状態から抜け出せないのが、私たちなのです。

「記録を取る」ことが大切!

そこで、心配事は実際に起きないのだと「実感」するために「記録を取る」。これが「ジャーナリング」という手法です。さっそく手順を紹介しましょう!

【「ジャーナリング」を試してみましょう!】

① 心配に思うことがあったら、その心配に思うことを手帳にメモする(スマホのメモ機能などを使ってもOK)
② それを1カ月間続ける
③ 1カ月後、メモした内容(心配に思ったこと)を見返して、それが実際に起きたかどうか○×をつける
④ 心配に思ったことがどれだけ起きていないかを実感する

この4ステップを実践するだけで、客観的に心配事はそんなに実現しないのだと実感できるでしょう。余裕があれば、①の心配事をメモする際に、心配の大きさを10段階評価で書いておくとさらに効果的です。自分の感覚で構わないので「この心配レベルは、すごく心配だから8だな」「これは、そこまで心配ではないから2だな」という感じです。

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なぜこれがネガティブ感情に対して効果的なのか? その理由は、私たちがどんな心配事に対しても「心配だ」という1つの言葉でしか表現していないことにあります。

夜も眠れないくらい心配なことについても「心配だ」。いいタイミングで電車が来るか心配なときも「心配だ」。全部同じ「心配だ」で表現するので、必要以上の心配をしていることが多々あるのです。

そこで、記録を取るときに心配のレベルを記載すると、「あっ、これはそこまで心配してないんだ」と実感でき、ネガティブ感情がその場で小さくなります。ぜひ、試してみてください。

星 渉 著作家、経営コンサルタント

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ほし わたる / Wataru Hoshi

著書累計7冊45万部。株式会社Rising Star代表取締役。1983年仙台市生まれ。大手企業で働いていたが、東日本大震災に岩手県で被災。生死を問われる経験を経て「もう自分の人生の時間はすべて好きなことに費やす」と決め、2011年に独立起業し、心理療法やNLP、認知心理学、脳科学を学び始める。それが原点となり、個人の起業家を対象に「心を科学的に鍛える」を中心に置いた独自のビジネス手法を構築。『神メンタル』『神トーーク』(ともにKADOKAWA)は25万部突破のベストセラーに。

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前野 隆司 慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授

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まえの たかし / Takashi Maeno

1984年東京工業大学工学部機械工学科卒業、1986年東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了、同年キヤノン株式会社入社、1993年博士(工学)学位取得(東京工業大学)、1995年慶應義塾大学理工学部専任講師、同助教授、同教授を経て、2008年より慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授。2011年4月よりSDM研究科委員長。この間、1990年-1992年カリフォルニア大学バークレー校Visiting Industrial Fellow、2001年ハーバード大学Visiting Professor。
 

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