新卒採用、人事担当者が嘆く「ルールの形骸化」 早すぎる採用日程、旧態依然の経営陣にも不満

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新卒採用ビジネスはリクルートが1960年代に開始し、1970年代に一般化した。その理念は、企業の新卒人材ニーズと学生のマッチングにあった。以来半世紀が経過したが、あまりに肥大化して、自壊しかけているという指摘がある。

確かにこの数年の新卒採用市場には新しい動きが目立つ。通年採用の動きも顕著になってきたし、リファラル採用を用いる企業も増大中だ。こういう動きを見ると、新卒一括採用がほころびかけているように思える。

「新卒採用は、時間と費用が莫大にかかり、そのうえ、必ず入社までいくと限らない場合があることが問題だと感じる」(メーカー・300人以下)

「就職ビジネスの肥大により、学生を商材とみなす風潮が顕著になってきた。人材ビジネスの原点に立ち戻ってほしい」(情報・通信・300人以下)

「一律の採用は、中小企業や外国人採用に不利だと感じる。大学等の卒業を3月だけでなく9月にも行うなど、個人ごとに切り替え、企業側も通年採用に移行すべき」(サービス・300人以下)

制度寿命が尽きかけている

これまで新卒採用の問題点に関する人事担当者の意見を紹介してきた。代表的なのは「採用ルールの形骸化」と「早期化」だ。しかし、それらの理由はたぶん表層的な現象なのだと思う。

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本質的な原因は、「新卒優遇」にあると思う。「プロパー」という言葉もあるし、「生え抜き」という古めかしい言葉もある。真っ白なキャンバスのような新卒を採用して、自社カルチャーの信奉者を作り出そうとするのが新卒優遇だ。こういう人材マネジメントはダイバーシティの対極にある。また若者の志向性にもマッチしていない。

新卒採用の優遇は高度経済成長期に生まれた昭和の人事制度だ。こういう人事制度が成立するためには、企業の継続的成長と多数の優秀学生の採用が前提になる。しかし、現代ではこのふたつの条件は満たされていない。

新卒一括採用の制度寿命は尽きかけているのかもしれない。「新卒採用の問題点」に寄せられた人事コメントを読み、そんな印象が強まった。

「学生がみんな、こうすれば受かるという情報により、個性があまりなく人選が難しい」(情報・通信・300人以下)

新卒採用を取り巻く問題点は数多い。みなさんはどうお考えだろうか。

佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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