「企業努力で早期離職を防げる」という考え方の一方で、就職意識の構造的変動が起こっているという見方もある。これはこの数年に増えてきた視点だ。この構造的変動が進行しているなら、従来型の新卒採用の効能はなくなっていくはずだ。変動に対応できる採用手法が求められている。
「転職ありきでの就職意識が多くなっているように感じ、10年単位の人的な組織運営が困難になり企業の存続にも影響するのではないか」(サービス・301~1000人)
「転職へのアレルギーの少なさ。会社側がそれを当たり前と思うように変わるべき」(メーカー・1001人以上)
「転職はあるものとした認識」(サービス・301~1000人)
新卒採用に対する注目が集まったのはリーマンショック後のことだ。景気後退を受け、2009年2月頃に卒業間際の多くの学生に対する内定が取り消され、新聞各紙に大きく報道されて社会的大問題になった。
このときに新卒採用に対する関心が高まり、多くの論者が採用ルール、特にスケジュールを問題視した。この頃の採用スケジュールは「4年生の10月:内定解禁」のみが決められていた「大学・大学院新規学卒者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」の時代であり、採用広報解禁日や面接選考解禁日の取り決めはなかった。
早すぎる採用活動
ただ、大手就職ナビが3年生の10月1日に一斉にオープンし、プレエントリーの受け付けを開始していたため、実質的にはこれが採用広報解禁日とされ、面接選考も年内に開始する企業も少なくなかった。あまりにも早すぎた時代である。
以来10数年経過し、いくつかの変遷を経て、スケジュールは半年近く後ろ倒しされて「3年生の3月:採用広報解禁、4年生の6月:採用選考解禁」と改善されたが、有名無実だ。実質的な採用活動は3年生の夏に開催されるサマーインターンシップから始まっている。
「ルールが形骸化、大学、学生の就職活動の意識が一括採用のままで、通年化にシフトしていない」(メーカー・1001人以上)
「3月広報解禁、6月面接解禁という形骸化した制度の見直しとインターンシップの意義目的を明確化する必要がある。特にインターンシップに対して学生の戸惑いはすごいと思う」(メーカー・1001人以上)
「採用活動の時期が全体的に早すぎるため、学生の就職に対する意識がまだ醸成されていない時期に安易に就職先を決定しているように感じる」(メーカー・301~1000人)
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