子どもにあれこれ言う親が的外れでしかない訳 アイコンタクトひとつでできる究極の子育て

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AIの時代には、ペーパーテストで測れる偏差値的な学力よりも、「非認知能力」が子どもたちの人生を左右するようになるといわれています。非認知能力とは、テストなどで簡単には測ることのできない能力の総称です。主体性、自己抑制力、思いやり、コミュニケーション能力など多岐にわたります。

玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友さんは、「本来、非認知能力とはなにか特別なものなどではなく、昔であれば子どもの普段の遊びや当たり前の子育てのなかで勝手に育っていたものです」としたうえで、親として意識すべきことは「大人からしっかりと受け止められる経験を子どもにさせること、そして、子どもの興味関心を大人が大切にすること」だと訴えます。

未熟な部分をぶつけ合うことが大切な学び

法政大学文学部心理学科教授の渡辺弥生さんも、遊びの大切さを強調します。「例えば、少しはけんかもしないと本当の意味で友だちと仲良くなることはできません。何気なくいったことでも『ここまでいうと相手を傷つけちゃうんだ』とか、よかれと思っていったことでも『ここまでいうとおせっかいになっちゃうんだ』というふうに失敗して学ぶのが人間であり、未熟な部分をぶつけ合うことが子どもにとっては大切な学び」というのです。

わが子の非認知能力を高めたいと思う親に対して、白梅学園大学子ども学部教授の増田修治さんは、「身構えるような必要はありません。大事なのは、『子どもの話をきちんと聞く』ことです」とアドバイスするとともに、「教育に熱心な親ほど、子どものいうことに耳を貸さず、『これが子どものためになるんだ』と勉強や習い事を押しつける傾向にあります。それでは、まったくの逆効果」と警告します。

「非認知能力が鍛えられる」とうたう教育プログラムをむりやり受けさせるよりも、子どもが純粋な興味関心をもって始める遊びを尊重して、親も一緒になって面白がってあげることのほうがよほど大事だということになります。

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