天才オードリー・タン母語る「子を自立させる術」 高く評価される台湾IT相を育てた教育の真髄
「自主学習」させることによる心配とどう向き合うか
「ほんとうに学びたいこと」を探すのは、簡単ではありません。子どもにとっては無駄な時間になるだけではないでしょうか。まずは、教科書どおりに学ぶことのほうが大事だと思います。
昨日、図書館で長いことお話ししたとき、私にはあなたの心配や不安が伝わってきました。家に帰って少し考えた後、自主学習と他者主導型学習(親や教師がリードして内容を決める学習)の違いをお話しするため、あなたに手紙を書くべきだと思いました。
現代の親は自分の子どもに対し、自立心、コミュニケーション能力、責任感、自己管理能力、物事への探求心などを持ってほしいと思うものです。しかし、これは教育によって叶えられる「目標」であり、教育の方法ではありません。
ではどんな教育をするべきか? この疑問に対する向き合い方は、人生や命に対する考え方によって違います。
あなたは人の命を道具のように扱う人ではないので、「老後に備えて子どもを育てよ」という古い考えを押し付けたり、現代のさまざまな集団主義者のように、自分や他人の子どもに非現実的で崇高な生きる目的(国の名誉や家族の面目)を求めたりはしませんよね。
でもあなたは子どもの将来を心配するあまり、もし不真面目に育ち、生計を立てられなくなったら?意志が弱く、分別のない人間になったら?競争に敗れて、路頭に迷ったら?などと考え、まだ自分の目が届く小さい(あなたが間に合うと思える)うちに子どもを教育して、意志の強さ、判断力、親しみやすさ、協調性、さらには仕事につながる1つ以上のスキルを身につけさせようとしています。
あなたは「こんなふうに考えるのは正しくないと言うんですか? 母親として、心配せずにいられますか?」と言っていましたね。
心配することが正しくないと言いたいわけではないのです。でも心配すればするほど、事態は深刻になるでしょう。なぜなら、自主学習と他者主導型学習の違いは、「この心配とどう向き合うか」にあらわれるからです。
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