海外ロケ支える「リサーチャー」凄すぎる準備力 学者の地域研究とスピードを競うレベル

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この道10年以上の海外専門リサーチャーのBさんは、大の読書好き。本当は出版社に入りたかったそうだが、「最先端の人の話が聞けて、知的好奇心が満たせる仕事」なのが気に入っているという。

「国会図書館とかでよくライバル番組のリサーチャーに出会います。みんな大量に図書館の貸出カードを持っていますね。一度に20冊とか本を借りて、公共交通機関で持ち運びますので、結構体力的にはキツい仕事です。仕事はとにかく地味。ロケもしませんし、VTRも編集しません。芸能人の知り合いなんて誰もいません」

リサーチャーは海外旅行そのものより、その準備をするのが楽しいという人に向いている仕事だという。「とある動物が生息している島がある」という話が現地から入ってきたら、「その島がどんなところなのかどこを探しても見つからない」「どうやって行くのかすら定かでない」という状況に置かれるのが一番楽しいのだという。

とにかく片っ端から本を調べ、人に会い、電話をかける。「日本でまだ誰も知らないこと」を日本で初めて知るのが嬉しいのだという。

リサーチャーは比較的長く働ける

海外とのやり取りが多いので、時差の関係で真夜中に仕事をすることも多いという。海外番組のADは2〜3年で辞めてしまう人も多いが、専門性が高いためかリサーチャーは比較的長く続く人が多いという。

フリーランスのリサーチャーには、得意分野がある人も多く、「理系の知識が非常に豊富な男性リサーチャー」とか、「何カ国語も流暢に話す女性リサーチャー」などになれば、まず食いっぱぐれない。

事前のリサーチだけでなく、編集段階で原稿やテロップのチェックもする。外国の地名のイントネーションなどを聞かれるため、ナレーション撮りに立ち会うこともある。画面に映っていることが、その国の法律に触れていないか、というようなコンプライアンスのチェックもする。とにかく膨大な知識量が必要だ。

いくつものロケが同時進行していて、編集やスタジオ収録が日程的に重なることも多いので、あまり休みは取れない。

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