海外ロケ支える「リサーチャー」凄すぎる準備力 学者の地域研究とスピードを競うレベル

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事前の準備でリサーチと並んで大変なのが、ビザ取得や予防接種、航空機・交通機関の予約、現地コーディネーターやホテルの手配などのロジスティックだ。以下はAさんの証言。

「海外ロケは昔から感染症との戦いみたいなもんです。タレントさんは忙しいので、予防接種をちゃんと打てないことも多い。3回打たなければいけないところを、1回しか打てないとか。現地の人が食べるものを一緒に食べるので、お腹を壊したくらいでは誰も何も感じません。

タレントさんがA型肝炎になって倒れたこともありますし、ロケから持ち帰った荷物に変な卵が産みつけられていて、謎の虫が大量発生して防護服を着た人たちが東京のオフィスを消毒しに来たこともあります。マラリアに3回かかったディレクターもいますし、感染症の専門医さんとはすっかり顔馴染み。研究に協力を要請されたこともあります」

そうした事態を防ぐため、大量の薬や安全な食べ物を持って行く。飛行機のオーバーエクセス(超過)料金は100万円以上になることもある。日本の虫除けでは効果が弱すぎるため、現地で強力な虫除けを買って使うのだが、防虫成分が強すぎて気持ち悪くなって倒れるタレントもいるという。

大御所のワガママは当たり前

民放局員として海外番組経験の豊富なCさんは、タレントに振り回された経験がたくさんあるという。

「大御所になると『ファーストクラスでお願いしたい』みたいなワガママは当たり前です。そもそもその飛行機にファーストがほとんどないのに……あとはマイレージの関係で絶対にA社の便にしか乗らないとか、帰りに観光地に寄りたいとか。ワガママを聞かないと機嫌が悪くなるので、できるだけ頑張りますけど。

あとは、過去にヤンチャだった頃に喧嘩をしたのが犯罪歴になっていて、ロケ直前にビザが発給されないのが発覚したとか……。本当にいろんな無茶振りをされますね」

タレントからもらえるスケジュールは、人気者ほど短くなる。しかもギリギリまでスケジュールが決まらない。できるだけ便利な飛行機便を取るのも重要だが、値段を安く抑えるのも同じくらい重要なので、どこをどうトランジットして、どの航空会社を使うか、いつ発券するかが勝負だ。

海外ロケに特化した旅行会社もあるのだという。「飛行機が飛ぶ機影のカット」や「ホテルの外観のカット」を番組でさりげなく放送することで、料金を割り引いてくれる「タイアップ」も非常に重要なので、各地域別に「タイアップエージェント」も存在しているという。

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