さまざまな“テレビのプロ”たちはどんな仕事をしているのか、そしてどんな問題にいま直面しているのか、を取材して「現場の声」をお届けする連載「テレビのミカタ」。
前回は、ドラマ撮影を前に進めるためなら何でもするトラブルバスター「ドラマ制作部」の人たちの、あまりに過酷すぎるお仕事の実態について紹介した。
そんな彼らを今、新型コロナウイルスの影響による撮影現場の変化が一層追い込んでいるという。緊急事態宣言の解除後、ドラマの撮影が再開されつつあるが、実は現場は撮影再開を素直に喜んでいられる状況ではないというのだ。
さらに、場合によっては今後、地上波テレビからドラマがどんどんなくなってしまう可能性すらある、と彼らは予測している。いったいどういうことなのか。
今回は、コロナ禍に苦しめられるドラマ撮影現場の実態を、ドラマ制作部の職人たちの証言を基に明らかにしたい。証言者は前回に引き続き、アラフィフのベテラン制作部・Aさんと、30代半ばの制作部・Bさんだ。
「現場に入らないと感染対策がわからない」
「実はドラマの撮影現場にも新型コロナの感染者が少しずつ出始めています。仕事は6月末くらいからはたくさんあって、むしろ人手不足なぐらいなのですが、私は高齢の親と同居しているので、仕事を再開するのを躊躇しています。
ですので現在も、貯金を取り崩して生活している状況が続いています。というのも、どんな安全対策が取られているのかが現場によってバラバラで、まったくわからないんですね」
こう言うと、Aさんは顔をしかめた。
「感染防止対策マニュアルは基本的には各放送局が作っています。そして、そのマニュアルを基に各制作会社も現場ごとにマニュアルを作っているのですが、そのマニュアルがいっさい公開されていません。ですから、その現場に入ってみないと、どんな感染防止対策が取られているのか、知る術がないのです」
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