よく目にするのに、どうやって作っているのか本当のところがわからないのが「海外ロケ番組」だ。実はそこには独特のノウハウと、外国ならではの大変な苦労がある。そして、コロナ禍の今、最も番組制作に影響が出ているのも海外ロケ番組だ。
連載「テレビのミカタ」では、テレビのプロたちはどんな仕事をしているのか、そしてどんな問題に直面しているのかを取材し、「現場の声」を届けている。今回は前編として、海外ロケ番組に関わる仕事人たちの証言を紹介する。
「何が撮れるか、本当のことがわからないのが海外ロケ番組の一番大変なことです」と語るのは、海外事情を紹介する番組の制作に長年携わってきた40代半ばのプロデューサー、Aさん。名前を言えば誰もが知っているような有名な番組にいくつも関わってきた。
日本で調べてわかることはだいたいウソ
Aさんは以下のように話す。
「リサーチャーが本とか資料を探して調べるのですが、日本で調べてわかるようなことはだいたいウソ。有名なバックパッカー向けガイドブックを持って海外に行くとだまされることが多いのと同じですね。
現地にいるコーディネーターにももちろん話を聞くのですが、現地にも意外と情報はない。ロケハン(下見)に行くまで本当のことはわかりません。日本国内をロケする番組なら、事前に撮れ高を見極めたうえで番組を作れると思いますが、そこが大きく違います。逆に言うと、日本で調べてわかるような内容のロケじゃダメなんです。まったく面白くない。ギャンブルみたいなものですね、勝ったらとても面白い内容になります」
また番組ロケのためのリサーチは「学者の地域研究とどちらが早いか」というレベルになっていると言う。ディレクターやリサーチャーの苦労は大変なようだ。
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