敏腕TVディレクターが「相撲映画」に挑んだ理由 音と映像にこだわったドキュメンタリーが誕生

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――そこまでの覚悟で撮ろうと思った?

いいんです。世界初の大相撲のドキュメンタリー映画を僕が撮れるなら。

国技館のナマの雰囲気を伝えるために音響や映像にこだわったという ©2020「相撲道 サムライを継ぐ者たち」製作委員会

――世界初の大相撲ドキュメンタリー映画と聞いたんですが、なぜ今まで撮る事ができなかったのでしょうか。

過去にも挑戦した人はいると聞きましたけど、詳しくはわかりません。ただ自分はやると覚悟を決めて取り組みました。やはり撮っている最中もいろんな修羅場があるんですよ。でもそこで諦めたら、これは撮れないなと。

やはり僕はバラエティー出身だから、できない環境で撮るということに慣れてるというか。これが駄目だと規制されたら、その中で面白くするためにはどうしようということをつねに考える。

撮影の本気度を試された

――制約の中で戦ってきたからこそ、臨機応変に対応できたということですね。

境川部屋なんてものすごい空気だし、稽古中に動くこともできない。撮れる範囲も限られている中でどうやって形にするのかということは、バラエティーをやっていたからできたと思う。

もちろんそれだけでなく、自分が男として試されるようなハードルがたくさんあった。普通だったらみんな日和るような場面です。ただ僕は、マツコさんや細木数子さんとかと仕事をしているなかで試されることが多かった。お前、本気なのか? と、試されるようなことをいわれる。そういうのに慣れていたからこそ、撮影することができたと思います。

――かなり中に入り込んでいるなというのはそうやって覚悟を決めたからだと。

そう。本気で撮る気があるんだなとわかってもらえたから、撮らせてくれたし、みんな信用してくれたんだと思う。

――そもそも、境川部屋と髙田川部屋に密着しようと思ったのはどのような理由なのでしょうか。

そもそも特定の力士に焦点を当てたドキュメンタリー映画を撮ろうと思ったわけではなく、相撲のドキュメンタリー映画を作りたかった。相撲部屋にはそれぞれの文化があって、それぞれ違うというところがある。だから複数の部屋に密着しようというのは決めていました。

そこで琴剣さんに、古き良き時代の相撲の名残があるのはどこなのかと聞いたら境川部屋だというので見に行ったら圧倒的に空気が張り詰めている。トイレに行きたくても行けないような空気。親方も怖いし、マスコミに出ることがあまり好きじゃないという。

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