トランプ氏が主張する「バイデン不況」は本当か 富裕層増税の反面、財政支出拡大が景気を刺激

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ときに誤解も拡散されるオンラインニュースの時代。解説部コラムニスト7人がそれぞれの専門性を武器に事実やデータを掘り下げてわかりやすく解説する、東洋経済のブリーフィングサイト。画像をクリックするとサイトにジャンプします

大和総研ニューヨークリサーチセンターによると、過去の大統領選の結果を基にその後の実質GDP成長率と株価の動向を見ると、1969年から2019年までの期間を対象とした場合、民主・共和党候補のどちらが勝っても大きな差異はない。

一方、議会選挙の結果を基にすると、共和党が上下両院で支配政党となっているほうがGDP、株価ともに堅調という。共和党が大統領・上下両院を独占した場合に最も堅調で、次に大統領と議会の支配が各党別々の「ねじれ」が続き、民主党が大統領・上下両院を独占した場合が最も冴えない。

ただ、これらはあくまで過去の統計上の結果であり、大和総研では「コロナの感染拡大に伴う景気後退に直面する中では、ブルーウェーブは追加支援などを迅速に決断する環境が整う」として「必ずしも悲観的にとらえる必要はない」と指摘している。

上下院が「ねじれ」の場合は政策難航

むしろ、バイデン氏とトランプ氏のどちらが大統領になっても、上下院がねじれとなった場合には、税制改革など予算手当てが必要な政策は両党の譲歩が必要となり、迅速な政策執行が難しくなる。とりわけバイデン氏の推進するオバマケアの拡大や増税などは共和党の反発が強く、妥結の見込みは薄い。

先述のゴールドマンの見通しでも、バイデン氏が当選して共和党が上院で過半数を維持した場合、新たなコロナ対策は1兆ドルには遠く及ばないとの予想だ。インフラ投資などバイデン政権のその他の政策も共和党の抵抗に直面し、さらなる縮小を余儀なくされる。トランプ氏が再選された場合も、共和党が両院の過半数を獲得できない場合は、コロナ対策の規模はかなり抑えられると見ている。

党派対立がますます先鋭化している近年の状況を考えても、大統領選の結果だけでなく、議会選の結果が極めて重要といえる。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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