その根拠としてまず、2021年1月20日の大統領就任直後(1~3月期)に2.5兆ドル(約262兆円、対GDP比12%)規模の財政刺激策を盛り込んだ新たなコロナ対策法案が可決される可能性が高まることを挙げる。議会での対立で難航していた法案で、現金給付や失業保険給付増額、企業の資金繰り支援などが含まれる。その大部分は2021年に支出され、残りはそれ以降の2~3年で支出されると予想している。
加えて来年7~9月期までに、今後10年間で総額約2兆ドル(約210兆円)に上る企業・富裕層対象の増税が立法化される一方、インフラ、気候変動、医療、教育向けに今後10年間で少なくとも2兆ドルの財政支出拡大を行う法案が可決される可能性が高いことを挙げる。
バイデン氏はインフラなどに4年間で2兆ドルの財政支出を提案しているが、上院で民主党が60議席未満では共和党からフィリバスター(議事妨害)の圧力を受けるため、支出規模は提案よりも絞り込まれると見る。ただ、当初の4兆ドルの増税案についても、法人税率は提案の28%までは上がらず、キャピタルゲイン税も現行の20%と提案の39.6%の間に落ち着くとの見方だ。追加給与税導入は難しいと予想している。
増税懸念織り込んだ後に株価反発?
ゴールドマンは、ブルーウェーブは景気とともにインフレ率も押し上げ、FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ再開が最大2年程度早まる可能性があるとも指摘する。今のところ利上げ時期は2025年初頭と見ているが、2023年まで前倒しされるかもしれないという。
同じくアメリカを代表する投資銀行であるモルガン・スタンレーのストラテジストは、もし民主党圧勝が早急に伝われば、市場はまず増税懸念を織り込むかもしれないが、その後は財政出動による恩恵と景気回復局面の継続を確認することで、アメリカ株式に押し目買いのチャンスが訪れるかもしれないと指摘している。
期日前の郵便投票が想定以上に早く進んでいるため、投票日から1週間以内に選挙結果が判明する確率を70%と見ており、景気を刺激する新たなコロナ対策についてもやはり来年初めには導入されると見込んでいる。
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