日本の「デジタル化推進」を阻む根本的な問題

「電波の開放」が未来の変革に繋がっていく

菅政権ではデジタル化推進が大きな課題になっています(写真: Graphs /PIXTA)
急速なデジタル化が現政権で掲げられる中で、さまざまな課題も浮き彫りになっています。政策工房代表で『国家の怠慢』を上梓した原英史氏は、今こそ電波分野での規制改革をすべきだと主張します。その真意はどこにあるのでしょうか。

菅政権では「規制改革」が最重要課題だ。喫緊の懸案が「デジタル変革(DX)」への対応であることは論をまたない。オンライン診療もオンライン教育も、行政・官民の諸手続きのデジタル化(象徴的には印鑑の問題)も、技術的にはとっくの昔に可能になったことが、規制で阻まれてきた。長年課題とされてきたがなかなか進まず、コロナ禍で問題が露呈した。

「デジタル変革」は、古い仕組みからの転換を伴う。古い仕組みにはしばしば利権がへばりついていて、規制を隠れ蓑に変革を阻む。だから、多くの分野でちょっとしたオンライン化が思わぬほど抵抗を受けるが、その代わり、ひとたび進めば、それぞれの分野で根本的な変革につながる。「デジタル変革」を進める価値は大きい。

裏側にある重要課題が「電波」

「デジタル変革」の進む社会を支える基盤として、裏面にある重要課題が「電波」だ。AIもロボットも自動走行も自動飛行も、電波がなければ機能しない。

例えば「スマート農業」で、農作物の状況をセンサーで把握し、無人ドローンで最適な肥料散布をしようとすれば、センサーからデータを飛ばすにもドローン操作にも電波がいる。「スマート防災」「スマート工場」「スマート建設」「スマート介護」なども同様だ。

旧来の移動通信(携帯電話)は、基本的に人と人をつないでいた。これからは、人口をはるかに上回るモノとモノが電波でつながり、データをやりとりするようになる。電波の重要性は飛躍的に高まっていく。

ただ、問題は、電波の帯域は有限で、とりわけ使い勝手の良い帯域は希少であることだ。電波は歴史的には、最初は防災・救急などの「行政」が主たるユーザーで、その後ラジオ・テレビの「放送」が現れ、1980年代以降に「携帯電話」が加わった。

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