アップルやグーグルが「哲学」にお金を投じる訳 哲学をビジネスに「使う」ための実践的な方法
研修としての哲学対話は、実に多様な目的で行われます。コンセプト・メイキング、マーケティング・リサーチ、アイデア・ワーク、チーム・ビルディング、モチベーションの向上、コミュニケーションや人間関係の改善、意志決定、合意形成、批判的思考力の育成などです。哲学対話を用いたこうした研修の実施や個人コーチングは、哲学コンサルの最もポピュラーなスタイルといえます。
クライアントからは、「アジェンダが機械的に進行されるような会議では、まず行きあたらないような個人的な規範や価値観に触れられた」「同僚の意見や考えに、以前より注意を払うようになった」といった声も聞かれます。組織内のコミュニケーションの改善や相互理解の促進も、哲学対話の成果だといえるでしょう。
マネジメントの哲学的な知見を提供
このスタイルの哲学コンサルは、当該企業の事業や理念・目的にあわせて、適切な哲学的知見を提供するというものです。
たとえば、マネジメントやリーダーシップについての哲学的な知見を提供することで、企業はガバナンスの改善を計ることができるでしょう。哲学コンサルタントが、クライアントの希望や要望を丁寧に聞きほぐしながら、必要とされる哲学の専門知や理論をまとめていくことになります。
提供方法としては、少人数でのレクチャーを行う、報告書やステートメントに仕上げる、研修の一環として講演を実施するなど、さまざまです。あるいは、まず企業の事業やマーケティングに役立ちそうな哲学的知見を提供するための講演を行います。それとセットで、前述の哲学対話研修を組み合わせるという選択肢もあります。
こうすると、単にインプットを行うだけでなく、社員はそれを自らの業務や経験と照らし合わせて考える機会をもつことができます。このスタイルは、比較的オーソドックスで、ポピュラーな哲学コンサルのひとつだといえるでしょう。
以上のように、哲学コンサルは非常に広い射程と潜在性を有しているといえるでしょう。これまでは欧米での実践事例が話題をさらっていましたが、本邦でも哲学コンサルタントを起用する企業が徐々に増えはじめています。時代の急速な変化とともに、コンサルや社員研修も、その核心から変わらざるをえない状況が訪れつつあるのかもしれません。
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