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アップルやグーグルが「哲学」にお金を投じる訳 哲学をビジネスに「使う」ための実践的な方法

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  • 堀越 耀介 東京大学UTCP上廣共生哲学講座 特任研究員
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そこでは、単に「モノ」や「サービス」を売るのではなく、「世界観」や「コンセプト」、「ビジョン」も売ることが鍵になります。そんなとき、哲学者の視点が役に立つことは、何となく想像いただけるかもしれません。哲学者の能力は、「ビジネスで利益を出すことと、社会的な善を結びつけようとする」際にも応用できるのです。

通常のコンサルであれば、企業が抱える問題に「データ」をもとに「直接的」な解決策を提案するでしょう。しかし哲学コンサルタントは違います。彼らが用いるのは、「問い」、「論理」、「理由」です。それによって、マーケットにおいて有効なものを見通すだけでなく、それが本当の意味で正当化できるかどうかまでをも見通そうとするのです。

アップルは政治哲学者をフルタイム雇用

たとえばアップルの場合はどうでしょうか。アップルでは、高名な政治哲学者ジョシュア・コーエンがフルタイム雇用され、大きな話題になりました。

彼が雇用されたのは、「アップル・ユニバーシティ」という自社独自の研修機関です。つまり、彼の貢献はエンジニアのように直接的な商品開発に役立つものではありません。彼のもつ政治哲学的な知見は、「直接的な売り上げ」には結びつかないでしょう。

それでもなお興味深いのは、アップルのような世界的IT企業が、民主主義理論を専門とする「政治哲学者」を雇用したという事実です。ここに、アップルの野望や理念、戦略が見え隠れしています。

彼がアップルで実際にどのような働きをしているかは、厳重に秘匿されているため、よくわかっていません。しかし、彼がアップルで雇用されていることの意味は、容易に想像ができます。

世界をリードする企業にとって、事業の核となるビジョンやマーケティング戦略を形作るには、哲学的知見や思考法が不可欠であること、そして、社員にもこうした教育を受けさせる重要性があるということです。

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【グーグルに在籍した哲学者】

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