アップルやグーグルが「哲学」にお金を投じる訳 哲学をビジネスに「使う」ための実践的な方法

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グーグルでは、デイモン・ホロヴィッツという哲学者が在籍したことも、大きな話題となりました。コーエンとは対照的に、彼は認知や言語にかんする哲学の専門家です。IT企業としてのグーグル像に、その存在を直接的に重ねやすい人物といえるでしょう。彼も「企業内哲学者」として、多様な観点を自社に取り入れる大きな役割をはたしてきました。

「もし私たちがテクノロジーというレンズを通してだけ世界を見るなら、言葉に意味を与えるような多くの重要なことを、見逃してしまうだろう」と彼は語ります。彼は、グーグルというIT企業にいながらも、それによって世界の見方が一元化されていくことに警鐘を鳴らします。人間性を数値化したり、定量的に測ろうとすることの功罪について切り込んでいるのです。

彼の講演に参加した聴衆のひとりは、「データを超えたところに哲学的な問いがある。それこそが今後、重要になっていくだろう」と語り、哲学者の視点や洞察力に大変興味を示しているようでした。

グーグルでは、ホロヴィッツのほかにも何人もの哲学研究者が活躍しているとされ、アメリカの経済紙等では、たびたび大きな話題として扱われています。

約80億円を哲学科に寄付した投資家

アメリカの伝説的な投資家ビル・ミラーが、大学院で哲学を研究していたことも、業界ではよく知られています。彼は哲学を修めた後に、ビジネス界で大成功した人物だからです。

もともと彼は哲学専攻ではありませんでしたが、ベトナム戦争従軍時にさまざまな哲学書を読んだことをきっかけに、一念発起して哲学研究の道へと歩んだという、異色の経歴のもち主です。

「哲学を研究することで身につけた分析の能力や心の習慣が、まさに自分のビジネスの成功に寄与している」と彼は語っています。それを理由に、彼が母校の哲学科に約80億円にも及ぶ寄付をしたことは、ビジネス界にも衝撃を与えました。哲学がビジネスにおいても有用であることは、徐々に認知されはじめているのです。

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