大学生バイト「違法状態で使われる」驚愕の実態 201人調査でわかった具体的な「賃金支払い」
全国の大学生の86.1%がアルバイトという労働者の立場で働いている(独立行政法人日本学生支援機構 平成30年度学生生活調査結果)。コンビニ、レストラン、居酒屋、学習塾など多くの産業でアルバイト学生はなくてはならない存在だろう。
一方、社会経験がなく「おとなしい」といわれる若者が、労働者として正当に扱われているか、疑問な点も多い。「15分未満の残業は賃金が支払われない」「有給休暇など一度も取ったことがない」といった声をよく聞く。
そうした中で、アルバイトをする多くの学生が必ずしも法律について十分な知識を持っているわけではないという弱点を突かれて、実は違法な労働環境で働いているケースが多いのではないか。
立教大学法学部消費者法ゼミ(細川幸一兼任講師)のゼミ生有志が、学生アルバイトの労働条件通知書、残業時間の賃金支払い、有給休暇取得の3点について実態を調査した。
労働条件通知書の交付がない
労働基準法15条には「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない」とあり、書面での交付が定められている(2019年4月からはファクス、電子メールを含む)。
しかし、厚生労働省が2015年に行った「大学生等に対するアルバイトに関する意識等調査」では、学生1000人が経験したアルバイト延べ1961件で、58.7%が「労働条件通知書等を交付されていない」と回答した。そのうち労働条件について口頭でも具体的な説明を受けた記憶がないアルバイトは全体の19.1%だった。
この調査を受け、細川ゼミでも学生74人にアンケートをとった。その結果、約18%に当たる13人が労働条件通知書等を受け取っていないことがわかった。