「まず失敗せよ」リーダーに必要な2つのこと 「いきなり成功を求める」から、人は育たない
なぜ「コロナ復興」が叫ばれないのか
遠藤功(以下、遠藤):私と先生との出会いは2011年、東日本大震災の約半年後に出した対談本(『日本企業にいま大切なこと』PHP新書)がきっかけでした。早いもので、それから9年半が経ちました。今回のコロナが国難だとしたら、あの地震も別の意味で国難でした。
野中郁次郎(以下、野中):まさにそうでしたね。
遠藤:当時と今との違いは、その後に「復興」という言葉が出たか出ないかという点にあると思っています。
当時は「復興」という言葉がすぐに使われました。見たことのないような大津波と、それによる甚大な物的被害という目に見えるダメージがあったからでしょう。地震が起きた翌4月にはたくさんの人たちが「復興」という言葉を発していました。一方、緊急事態宣言が発出され、半年も経つというのに、今回は「復興」という言葉をほとんど耳にしません。
野中:コロナの被害をトータルで考えると、東日本大震災より大きいかもしれませんね。
遠藤:そのとおりだと思います。その被害の実体が見えず、しかも、津波のように瞬間的なインパクトがあるものではなく、ダラダラと持続するので、実感が湧きにくいのでしょう。
医療も大事ですが、経済も大事です。それこそ人の生死にも大きく関わってきますから。内閣も交替しましたが、それこそ「コロナ復興庁」でもつくって、リーダーが率先して総合的、多面的に取り組まないと、後に禍根を残すことになるのではないかと心配しています。