(第37回)<知花くららさん・後編>学校は好きなことをみつけられる場所であって欲しい

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(第37回)<知花くららさん・後編>学校は好きなことをみつけられる場所であって欲しい

●英語に興味を持つ

 中学一年生のとき、英語のスピーチコンテストに出ました。決められた文章を暗記して発表する形式で、事前に原稿と同じテープをもらいます。それを何回も聞きながら完全にコピーするのです。上がるところと下がるところに印をつけて、歌を覚えるみたいにシャドーイングします。そのときシャドーイングという方法は知りませんでしたが、完璧にコピーするために夢中になった覚えがあります。結局、パフォーマンス、ジェスチャーが大きな子に負けてしまって……。「発音は君が一番きれいだけど、彼女の方が楽しい」と言われました(笑)。

 その後、那覇祭り「那覇ハーリー」のことをテーマに書いた日本語の作文を英語に直してスピーチコンテストに出ないかと言われ、自分で英訳する作業がまた楽しかったです。たくさんの人の前で話をしますが、英語と日本語で変わることはありません。舞台上のパフォーマンスなので、いかにそのときの場面が伝わるか、審査員の人たちはどういうところに興味を持ってくれるのかを考えながら、緊張しながらも話した覚えがあります。

 初めて英語に興味を持ったきっかけは小学生の頃です。そのとき使っていた鉛筆に「KEROKEROKEROPPI」というローマ字が書いてあり、このキャラクターは「けろけろけろっぴ」だけれど、これはなんて書いてあるのだろうというところから始まったんですね(笑)。

 高校は芸術学科と英語科と理数科がある学校で、私は英語科に進みました。そして、沖縄から東京の大学に進学しました。

●ひたすら自分で自由に考える授業

知花くらら  大学では初め、テニスサークルに入りましたが、飲み会活動に飽きてしまい、1年で辞めてしまいました。その後、フラメンコを始め、今も続けています。
 サークル活動に励むタイプの大学生ではなかったし、そもそも学校に寄りつく学生でもありませんでした。ランチは一人でカフェに行き、授業で使う本や研究テーマに関する文献を読みながら食べる。暗い学生でしょう?(笑)それでも周りに個性的な友達は多かったし、何より教授が面白かったです。

 教育哲学の授業は、大学1年の時に必ず履習するのですが、初めて授業を受けた瞬間に、4年間これを学びたいと思わせてくれました。
 先生が教室に「オハヨー」と言いながら入ってきて、何も言わずに黒板に「命題」と書き、「人間に教育は必要か」という一文を続けて書きます。そして、「リアペ配りま~す」と、用紙が配られ、ただひたすら、ウンウン唸って考えるだけ。書いているとじきに鐘が鳴り提出。それで終わりです。次の時間にフィードバックがあり、この人はこう書いたといって論旨を整理する。そういった感じの授業でした。
 私はこの授業にものすごく苦労したのを覚えています。いろんなことを考えるのだけれど、言葉にするのが苦手で、それに取り組むのに一所懸命でした。しかし教授には、「くららはいつも窓の外ばっかり見ている」と言われてしまって……(笑)。きちんと本を読んだり、自分の興味のあるものを絞っていくうちにディスカッションにも慣れ、リアクションペーパーをまともに書けるようになりました。
 授業で学んだ教育哲学は、今でもすごく興味があり、チャリティをやりたいという気持ちも、大学での授業に関連していると思います。
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