早大競走部が受け継ぐ“魔法の言葉” 世界を目指す名門から学ぶ「上昇志向」

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早稲田じゃなくて、WASEDAを目指す?( 写真:日刊スポーツ/アフロ)

いったい目標をどこに置くのか。志ひとつで取り組む姿勢が変わってくる。それは仕事、勉強、スポーツでも同じことだ。新年度が始まって1カ月半。モチベーションが徐々に低下しつつあるあなたに、早稲田大学(以下、早大)の競走部が受け継ぐ“魔法の言葉”を紹介したい。

早大競走部は昔も今も、陸上界で大きな存在感を放つ名門だ。1914(大正3)年4月に創部すると、アジア人初のオリンピック金メダリストとなる織田幹雄をはじめ、世界大会の代表を数多く輩出してきた。エンジのユニフォームに袖を通した者たちにとって、“世界”を目指すという魂は遺伝子のように脈々と受け継がれてきた。2012年のロンドン五輪でも男子やり投げにディーン元気(現ミズノ)が出場。予選を突破して、決勝進出を果たしている。

世界を目指す姿勢は、日本のカレッジスポーツで最も注目を集める箱根駅伝を目指す長距離選手も変わらない。早大は箱根駅伝で13回の総合優勝を誇り、2010年度には出雲、全日本、箱根をすべて制して、学生駅伝のグランドスラムを達成。同時に、昨年はエース大迫傑(現日清食品グループ)がモスクワ世界選手権の男子1万m代表の座をつかみ、世界の舞台を踏んだ。

「世界を目指す」という魔法の言葉

近年の学生長距離界は“駅伝主流”の傾向にあるが、早大だけはブレていない。渡辺康幸駅伝監督が早大に入学した当時から「世界を目指す」という雰囲気がチームにはあったという。

「私が入学したときは、瀬古(利彦)さんが早大のコーチでいらして、世界を目指すような流れがありましたね。それは2学年上の武井(隆次)さん、櫛部(静二)さん、花田(勝彦)さんを含めてですけど。私たち数人のAチームだけは、その他大勢の選手たちと完全に別メニューで、レベルの高い練習をしていました。シニアで成功するのが最終目標。そのステップに大学在学中のトラックや駅伝がある。瀬古さんはそういう指導でした」

早大の精鋭たちは瀬古利彦(現DeNA総監督)の直接指導で、「世界」を見据えたプログラムが組まれていたという。そして、早大の選手たちが学生長距離界のレベルを押し上げてきた。これは駅伝とはまったく別の物語だ。少しマニアックになるが、たとえば、1万mの日本人学生最高記録はほぼ早大勢が占めてきた。

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