野球界にそびえる、プロとアマの高すぎる壁 「プロ対アマ」「セ対パ」の複雑怪奇な構造
ジャーナリストから見た野球とサッカーの違い
摩訶不思議なことに、プロ野球記者の取材パスには2種類が存在する。ひとつは、日本野球機構(NPB)が記者クラブに加盟する新聞社、テレビ、ラジオ局の記者に発行する「NPBパス」。このパスがあれば、プロ野球のどの試合でも取材することができる。
もうひとつは、公式戦を主催する各球団による取材証だ。筆者は今季、雑誌媒体を通じて読売ジャイアンツと埼玉西武ライオンズに年間パスを発行してもらい、2軍の読売ジャイアンツ球場と西武第二球場を含めて両球団の主催試合、練習を取材できる。そのほかの球団による主催試合を取材したい場合、その都度申請している。今季は千葉ロッテマリーンズと東北楽天ゴールデンイーグルスに1デイパスを出してもらった。
「プロ野球の取材現場に食い込んで、すごいね」
サッカーライターの友人たちに、何度かそう言われたことがある。フリーランスや雑誌記者でも取材できるJリーグに比べ、確かにプロ野球は敷居が高い。硬派な論調で知られる雑誌「サッカー批評」が2009年3月に発行した号の「Jリーグのメディア戦略」という企画には、以下の記述がある。
「プロ野球界が報道機関として取材を認めるのは一般紙、スポーツ紙などの運動記者クラブ加盟社のみ」
前述したように、この認識は間違っている。だが外部の人間にとって、プロ野球が閉鎖的だと思われているのは紛れもない事実だ。筆者自身、今回の原稿を書くまで大きな勘違いをしていた。NPBに対し、取材パスを発行する条件について問い合わせると、以下の回答を得た。
「NPBパスの発行について明文化された規定はなく、今までの慣習で記者クラブに発行している。記者クラブ以外の媒体や記者から申請があった場合、その都度判断する」
勝手に断念していたが、雑誌社や筆者のようなフリーライターもNPBパスを手に入れられる可能性はあるのだ。すぐに、行動に移してみようと思っている。
そうした自身の無知を棚に上げて言わせてもらうと、プロ野球界は「慣習」=「古い日本的考え」が発展の足かせになっている。
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