早大競走部が受け継ぐ“魔法の言葉” 世界を目指す名門から学ぶ「上昇志向」

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個人で世界を目指す選手がいる一方で、チームとしては箱根駅伝が最大の目標となる。それを両立させるのは簡単なことではない。正月の箱根駅伝への取り組みも、早大は他校と違っていた。

通常はチーム一丸となって、「箱根仕様」ともいうべき、20kmを確実に走るためのトレーニングをするが、早大はキャプテンの大迫が約4週間もチームを離れている。大迫はロンドン五輪長距離2冠のモハメド・ファラー(英国)や1万m26分台の白人ランナー、ゲーレン・ラップ(米国)らが所属する米国オレゴン州の「ナイキ・オレゴンプロジェクト」で来季のトラックシーズンを意識したトレーニングを行った。

「チームとして結果を出せればいちばんよかったですし、大迫も1区で区間5位に終わったので、何も言うことはできません。米国には大学を卒業してからも行けるという考え方もありますが、今回やったことが失敗だとは思っていません。大迫と同年代の選手たちが東京五輪で活躍したいと口にしていますが、その具体的なアプローチはあるのでしょうか。今の実業団のスタイルを否定するわけではないですけど、何かを変えないと世界で戦うのは厳しいと思います」(渡辺監督)。

世間の常識ではなく、自分たちのやり方を貫く。それが早大競走部の流儀なのかもしれない。大迫が卒業した後、新チームの長距離主将となった山本修平も「ワセダは世界に羽ばたく選手を輩出しようという大きな目標があるので、個人的には来年の世界選手権の参加標準記録を視野に入れて取り組みたい。今季はインカレのトラック優勝。駅伝でリベンジして、最後は箱根駅伝で優勝を奪還したい」と、伝統を引き継ぐ覚悟はできている。

「世界を目指す」という言葉を本気で口にできる人間だけしか、世界の舞台に立つことはできない。言霊ではないが、どれだけ高い目標を自分に掲げることができるのか。そして、その目標に向かって、より具体的なアクションをすることができるか。自分を変えることができるのは、自分だけしかいない。目指すべき姿があるならば、まずは「言葉」にしてほしいと思う。

酒井 政人 スポーツライター

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さかい まさと / Masato Sakai

東農大1年時に箱根駅伝10区出場。現在はスポーツライターとして陸上競技・ランニングを中心に執筆中。有限責任事業組合ゴールデンシューズの代表、ランニングクラブ〈Love Run Girls〉のGMも務めている。著書に『箱根駅伝 襷をつなぐドラマ』 (oneテーマ21) がある。

 

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