テレ東の看板Pがコロナ禍の制約に見た勝ち筋 スピード感とマッチング力が問われている
自粛期間にバラエティ制作者として感じたこと
5月から6月にかけて深夜で放送した「浦和から持ってきて!」は、浦和のテープ倉庫に保管された門外不出の衝撃的な過去番組の数々を、僕と「ゴッドタン」の佐久間宣行、「家、ついて行ってイイですか?」の高橋弘樹、「ハイパーハードボイルドグルメリポート」の上出遼平の4人が選んで放送するというものでした。
これは編成から「こんなことできないか?」と言われて、急遽2週間くらいで作りました。新型コロナ禍で新撮ができない状況になり、急にものを考えなきゃいけなくなり、これまではあり得なかった制作期間で番組を作ることになったことで、改めて感じ入ることがありました。
組織でものを作るというのは、もはやテレビと映画くらいなんです。ネットでは、ユーチューブなんかは1人か2人でパパッと作るという世界ですからね。それからすると、企画を通すとか各方面に確認をするとか、組織で作るという作業がいかに時間のかかることだったのかと。あぁ、テレビだって2週間でできるんだ。これまでの常識って何だったのだろう? と。人々のニーズがテレビからネットに移行しているという、そんな時代の変化がある種必然だったということを、改めて実感しています。
僕が作ってきた番組で言いますと、「モヤモヤさまぁ〜ず2」は、街を歩いて人と会う番組です。それがコロナ禍によって「人に会うな」という、人類史上なかった制約が課せられたとき、番組のライフラインだった「コミュニケーション」が寸断されたような気がしました。そんな状況下でこの番組をどうやって続けていけばいいのか、どうやったら人とのコミュニケーションが取れるのか、そしてそれが笑えるものになるのか……と、日々考えさせられました。
各局の番組を見ていると、いろいろと形を変えたり、この状況を逆手にとって面白く表現したりしているものがあります。「モヤさま」の場合は、普段は行かない博物館とか美術館に行ってみるということをやっています。限られた場所で許可を取って、突発的に密な状況にはならないようにするということですが、結果的に普段行かないところに行ってみて、新しい発見を見つけに行っているということでもあります。