テレ東の看板Pがコロナ禍の制約に見た勝ち筋 スピード感とマッチング力が問われている
制作局のなかに「なんでもやっていい部署」を作ることで、できればマネタイズをしてほしいとも言われました。CMという放送収入が厳しくなるなかで、新しい収入を確保していかなければさらに厳しくなると。そんなことを感じながら、自分の頭を整理する意味で、新しいチームについての企画書を書いていく作業に入りました。「なんでもやる」ということは、時代に合わせて表現するスタイルを変えていいのだろうということで、イベントとかサロンとか……そんなことも考え始めていたわけです。
一方で、数社が出資して今年新しくできたイベントスペース「MIxalive(ミクサライブ)TOKYO」にテレビ東京も出資していて、365日運用できる「スタジオミクサ」を持つことになりました。当初は主にイベントを企画する部署が主導して、池袋という街に合わせた2・5次元ものとか、アニメファン向けのイベントで集客を狙ってマネタイズしていこうとしていました。
断るという選択肢はなかった
ところが、コロナ禍によってその計画がすべてストップしてしまったんです。それでも家賃は払わないといけない、困ったということで、4月に立ち上がった僕たちのチームに「箱が空っぽだから、何かやってくれ」という話が来たというわけです。僕はチームの企画書に、社内外に向けて「僕たちを使ってください」と書いていました。そう書いた以上、断るという選択肢はありませんでした。
タイトルは「テレ東無観客フェス2020」、無観客イベントの有料生配信をやろうということが決まってから約1カ月、実際の制作期間は3週間でした。あと3週間で本番が来てしまうのだから、初日は俺たち全員で出ていって何か喋ればいい、ワンコインで裏サロンだと(笑)。500円の価値があることを喋ろうと。
あとは都市伝説とか番組関連のイベントとか、チームのメンバーが個人的に抱えているテーマをそのまま放ってみるのもいいだろうということで、例えば工藤里紗(「シナぷしゅ。」プロデューサー)は「大人の性教育」というテーマを出してきました。
彼女が持っている母親としての価値観とか、そういうものもそのまま出してみたらいいじゃないと、僕はすぐに言いました。あと、海外ロケに行けない上出は「闇鍋」と言い出した(笑)。半グレと呼ばれ刑期を終えた人に、この池袋で会って聞きたいことがあるんだと。