テレ東の看板Pがコロナ禍の制約に見た勝ち筋 スピード感とマッチング力が問われている

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コロナ禍による自粛期間で、視聴率が全般的に高くなったということは、これまであまりテレビを見なかった方も見ていただいたという面はあると思います。家にいればテレビがあって、つければなんらかの番組がやっているというテレビのあり方は、何十年か前のテレビの視聴感覚に戻ったという面もある気がします。

ステイホームで、家族で同じ番組を見る。それは喜ばしい反面で、作り手としては「ちゃんと届けないといけない」という思いが強くなりました。家にいる視聴者はどんなものを求めているんだろう、こちらが面白いと思ってやっていることを今まで以上に面白いと感じてもらえるようにするにはどうしたらいいだろうと。真面目な言い方をすれば、そういうことをテレビはもっと考えなければいけないと、強く感じました。

制約に振り回されるより新しいことを

ただ、テレビ東京は旅番組とかロケに行く番組も多いので、たとえリモートで旅をするとかいろいろなアイデアをひねり出したとしても、ずっと新撮ができないといよいよ苦しくなっていく番組も出てきます。撮影スタッフや人が移動しないで番組がどうやったら作れるのかと一生懸命考えていますし、それをやっていくのも1つのあり方なんですが、僕は逆に、「もうコロナ前には戻らない」という覚悟をしたうえで、それを早く受け入れたほうが、企画についても切り替えが早いのかなという気がしているんです。

旅というのは、いずれはできるようになると思いますが、今どんな旅をしたいのかなと考えたとき、本当に今までどおりの旅がいいのか、働くのと遊ぶのがいっしょになっている「ワーケーション」的なものがいいのか。そうなると、旅というよりは「滞在する」というのが面白いんじゃないかと。1泊2日じゃなくて10泊とか。10泊の旅って、3泊目くらいから行くとこに困るなと(笑)。でもそうすることで旅先の本当の魅力にたどり着けるかもしれない。1泊2泊のツアーだとたどり着けない旅があるんじゃないかと。

何が言いたいのかというと、今のテレビには、世の中の変化に素早く対応するスピード感が求められていると思います。制作者がいち生活者として変化を身近に感じながら、スピード感をもって企画にしていく、あるいは表現を変えていくことです。あとはマッチング力です。どこで何が求められているかを探して、求められていると思ったらそこに果敢に出ていくことができるかどうか。

ここはダメでもここなら行けるとか、お互いの関係性をうまく見つけてマッチングさせる能力が、より必要になってくるでしょう。関係性が築けないところに無理に出ていくよりも、築けるところとうまくやっていくことが大切なんじゃないかと思うからです。

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