テレ東の看板Pがコロナ禍の制約に見た勝ち筋 スピード感とマッチング力が問われている
ビフォー・コロナに戻れるものなら戻りたいと思わないでもないけれど、今の制約を無理に乗り越えようとしても仕方ないし、焦る必要もないという感覚でしょうか。例えば出川哲朗さんの「充電させてもらえませんか?」が、これまで通りのバイク旅ができないなら、できるようになるまでお休みするというのも1つの方法ですし、あるいは車に乗っちゃうとか(笑)、いろいろとやり方を変えていきながら番組自体を変えていくというのも1つの方法です。
僕個人の考えでは、テレビ東京は後者のやり方を選択していったほうがいい気がします。制約に振り回されるくらいなら、早く諦めちゃおうよと(笑)。そのほうが身の丈に合った感じで、視聴者にも理解していただけるのかなと。
1つ、発見だったのは、僕が担当してきた「やりすぎ都市伝説」です。いつもはスタジオにひな壇を作っていたものが、コロナ禍でできなくなり、新撮回では司会の今田耕司さん、東野幸治さんと、そして都市伝説を喋るテラーが順番に登場する形にして、基本3人で進めていくということになりました。
これが結果的に面白くなったんです。今田さんと東野さんが生き生きとして、かつて上岡龍太郎さんや山城新伍さんのような求心力の強い司会者が活躍していたころの、往年のTVショーのようだったとでも言いますか。
司会者が「回し力」を発揮する必要がない
いつしか司会者というのは、多くの演者さんに気を使う「回し」ということが求められるようになり、いろいろな人に話を振ることができる「回し力」が重要視され、ひな壇というスタイルができあがりました。それができなくなったことで、いつもは「回し力」を発揮している今田さんと東野さんがそれをする必要がなくなり、要は自分たちの好き放題にできたという(笑)。そのつど都市伝説を喋るテラーを立てつつも、2人が作り出す笑いがいっぱい出たことがすごく新鮮でした。僕は「3人でいいじゃん!」と思っちゃいましたね。
この4月から、僕は制作局内に新しくできた「クリエイティブビジネス制作チーム」に配属されました。昨年末くらいに上司から呼ばれて、「これからのテレビはなんでもやっていく時代で、伊藤はそういうの得意そうだから」というので、僕にやれと。それは放送収入だけじゃなくて、放送外収入も増やしていくという会社の方針を指しているのはなんとなくわかりました。
それから年が明けて1月中旬くらいにチームの人選の話になり、キャラクターの濃い、要はめんどくさい人たちばっかりになりました(笑)。「浦和から持ってきて!」の3人も含め、切っ先の鋭い番組を作ってきた人ばかりです。