再び感染者の増加が始まり、一進一退が続く新型コロナウイルスの問題。“第2波”の到来もささやかれる中、戦々恐々とする働く親も少なくない。また保育園に「子どもを預かってもらえない」生活に戻ってしまうのではと危惧しているのだ。
都内で小学生の太郎君(仮名、8歳)と保育園児の次郎君(仮名、5歳)を子育て中の牧田明美さん(仮名、30代)も、その1人。
「4月、5月は地獄の日々だった。虐待のニュースは他人事ではなかった」
明美さんは保育士、子どもをみるプロだ。にもかかわらず、保育園の休園と小学校の休校期間中、在宅ワークとの両立はもちろん、子育てそのものに限界を感じたという。
家庭の状況を問わず、有無を言わさず預からない
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、4月7日に政府が緊急事態宣言を発令するやいなや、明美さんが住む自治体は保育園を「臨時休園」すると判断。4月8日の夕方、「4月9日からゴールデンウィークが明けるまでの約1カ月は休園になる」という内容のメールが保育園から保護者に一斉に送られた。
この日、明美さんが保育園に次郎君のお迎えに行くと、保育士が「明日から保育園は閉まりますから」と言って、お昼寝用の布団セットを押し付けるように明美さんに渡した。日頃、保育士が布団をたたんでくれることすらないのに、この日は布団をしまって待ち構えていた。
IT関係の仕事をする夫がすでに在宅ワークにシフトしていることを園側は把握していたため、「有無を言わさず『明日から来ないでね』という態度でした。保育園が休園になったら私の仕事は大丈夫かと心配する言葉は一切なかった」と、明美さんはあきれ顔だ。
そして、「私の勤め先の保育園は民間経営だけど、虐待や育児放棄が心配な家庭の子は預かった。次郎の通う保育園は公立なのに、そんな配慮は誰に対してもみじんも感じられず、同じ保育士としてショックだった」と語った。
在宅ワークが始まったものの、明美さんには、小学3年生の太郎君に休校中の勉強をさせなければならないというプレッシャーがかかった。しかし、太郎君のそばには、遊びたい盛りの次郎君がいる。
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