上場企業における早期・希望退職者の募集が増えている。東京商工リサーチの調査によると、2020年上半期(1〜6月)期に早期・希望退職者を募集した上場企業は41社(延べ43社)。前年同期の2.2倍となっている。
同社の調査では、2019年通年では35社(延べ36社)、対象人数は1万1351人だった。人数は過去5年間で最多を更新し、前年比で約3倍だ。この中に業績のよい会社が含まれていたこともあり、当時から「黒字リストラが始まり、日本企業の特徴である長期雇用が崩壊する」と話題になった。
一連の流れを受け、「大手企業で大リストラが起きている」という印象を持った人も多いかもしれない。はたして、日本企業の長期雇用は崩壊の危機に瀕しているのだろうか。
大企業における退職募集対象者の割合
東洋経済が刊行している『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2020年版には、各社の年代別(30歳未満、30代、40代、50代、60代)の従業員数を掲載している。
すべての年代を開示しているのは883社。連結売上高は平均値6804億円と、日本を代表する上場企業の多くが含まれている。合計人数は、60代11万6770人、50代75万1223人、40代88万1053人、30代79万779人、30歳未満60万7780人だ。
この中で40代と50代を早期退職候補とすると、対象者は163万2276人になる。仮に退職募集が昨年の2倍になったとしても2万2702人。離職率は1.4%にすぎない。いまだ日本には「長期雇用をできるだけ守ろう」としている会社が多そうだ。
これまで、「離職者の少なさ」は働きやすい職場の条件の1つとして考えられてきた。その考え方は依然として健在とみて間違いなさそうだ。
そこで今回、働きやすい会社を見つけるために『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2020年版のデータを使い、「離職者が少ない会社ランキング」を作成した。本ランキングは2018年に開始し、今回で3回目となる。対象は2017年度1年間で単独従業員が1000人以上の会社だ。
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