新卒の「3年後定着率」が高い300社ランキング 学生と企業はコロナ禍にどう向き合うべきか
「第二の就職氷河期を作らないとの強い決意をもって臨むことが重要」――。新型コロナウイルスを踏まえた就職活動への対応について、日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長はこう強調した。
大規模な企業説明会やイベントの中止・延期に加えて、一部企業での内定取り消しなど、すでに影響は出始めている。景気後退入りが確実視される中、就活戦線は学生有利の「売り手市場」から、一転して「買い手市場」へと向かう可能性もある。事態が長期化すれば、「第二の就職氷河期」の到来も現実味を帯びてくる。
採用計画への影響を軽減させるため、一部企業ではWebでの説明会や面接を実施している。海外にいる留学生や地方学生の就活を支える重要なツールだが、「雰囲気や人柄などの非言語情報が伝わらない」といったデメリットも企業・学生の双方から聞かれる。
双方の理解が深まらないまま入社した場合、企業にとっては、ミスマッチによる離職者の増加などの悪影響が出るかもしれない。学生にとっても、重要なファーストキャリアを望まぬ環境からスタートさせてしまう危険が高まる。就活戦線の先行きが不透明な今こそ、しっかりと企業研究をする必要があるだろう。
そこで、今回は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2020年版から、新卒社員の「3年後定着率」をランキングし、上位企業と他社の比較や、その取り組みをみていく。
ランキングの対象は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2020年版掲載1593社のうち、2016年4月入社人数と、その3年後の2019年4月1日時点の在籍者数を開示している1247社だ。なお、2016年入社人数が5人以上の企業を対象としている。
入社人数最多はアサヒグループ
定着率100%企業のうち、2016年の入社人数が78人で最多だったのはアサヒグループホールディングス。ビール大手各社の定着率は、サントリーホールディングス(87位、98.3%)、サッポロホールディングス(125位、96.5%)、キリンホールディングス(ランク外、91.3%)と高水準だが、定着率100%はアサヒだけだ。
同社は高水準の給与に加えて、全年齢を対象にした体系的な人材育成プランやきめ細かいメンター制度などを整備している。また、グローバル市場への進出も加速させており、活躍できるフィールドが広いことも、キャリア志向の新卒社員には好印象だろう。若手を対象にした「グローバル・チャレンジャーズ・プログラム」のような選抜型研修などの取り組みも拡充している。
次に入社人数が多かったのは、福岡県に本拠を置く産業用ロボット関連大手の安川電機(75人)だ。同社は「自ら学ぶ教育」を標榜し、社長自らが旗振り役となって人材育成施策を推進している。OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を中心としつつ、機器関連の技術・技能から営業関連のノウハウまでを対象にした豊富なカフェテリア研修などを設けている。
また、『会社四季報』によると福岡県に本拠を置く上場企業は83社あるが、安川電機はその中でもトップクラスの平均年収を誇る。地元での就職を希望する学生にとって、魅力的な就職先に映るだろう。
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