併せて、2017年度の単独従業員数を分母にして「離職率」も算出した。ただし、前年の従業員数と離職者が同じ基準とは限らない。離職率はあくまで参考値で、詳細を調べたい場合は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』で今回紹介した情報以外も確認いただきたい。
では、ランキングを見ていこう。
1位は、2018年に続き2回目のトップとなる北川鉄工所(離職者10人)だった。同社は自動車などの部品鋳造、工作機械器具、建機などを多角的に経営。タイ、中国、メキシコに製造拠点を持ち、グローバルで事業活動を展開する。
半日・時間単位の有給休暇や企画・専門業務型の裁量労働制度といったワーク・ライフ・バランスのための各種制度が充実。通信教育を中心に自己啓発支援を実施するなど幅広い。
全体の女性比率は12.8%(174人、2018年度)で、4
上記の定義に基づく離職率は0.8%。厚生労働省の「平成30年雇用動向調査」によると、全国規模での個人的理由による離職率は10.4%だった。定義が異なるので単純比較はできないが、北川鉄工所の離職率はかなりの低水準となっている。
2位は三井不動産(離職者11人、離職率0.7%)。三菱地所と並ぶ総合不動産の双璧とされる大企業だ。働き方改革の専門部署である「働き方企画推進室」を中心に、働き方の質を高めている。
育児・介護にかかわる従業員を対象とした在宅勤務制度や、事業所内保育所の設置など、男女問わず家庭と仕事の両立を支援している。
人事部が毎年、非正規を含む全従業者と面談。個別に状況をヒアリングするなど、従業員の満足度向上も目指している。
3位は、ガス・水道メーター大手の愛知時計電機(離職者12人、離職率1.0%)。育児や介護のための短時間勤務制度や半日単位の有給休暇制度などが整っている。
4位は離職者13人で、日本曹達(離職率1.0%)、信越ポリマー(同1.3%)、やまびこ(同1.2%)、アルバック(1.0%)の4社が並ぶ。
平均離職率「1.8%」が意味するもの
今回のランキングで紹介した101社の各数値の平均値は、離職率1.8%、平均年齢42.2歳、勤続年数17.5年。上位は業績が安定し、働きやすい制度を導入している会社が目立つ。
一般的に、離職率の低い企業は長期雇用を重視し、いわゆる日本的経営の色合いが強いことが多い。こうした会社は平均年齢が上がり、活力がなくなってしまうおそれもある。今後は一定の入れ替えも必要となるだろう。
その際、今回の対象企業の離職率の平均値である1.8%は「健全な会社の目安」として使えるかもしれない。職場の活力を維持しながら、持続的な発展を続けられる適正な離職率はどのくらいなのか。今後も回答企業の取り組みや離職率の推移に注目しながら、考えていきたい。
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