頭のいい人が「図を使って考える」3つの理由 AI時代に差が出る「抽象化思考」とは何か
ところで、なぜ図を使うと、より深く、正しく考えることができるのでしょうか。
①枝葉末節がそぎ落とされ本質がクリアになる
まずは情報の渦に溺れることがなくなります。図を描くのはホワイトボードの範囲内、あるいは紙1枚の中です。しかも、文章も基本使わないので情報量はかなり限られます。
実は情報が多すぎると、思考の低下を引き起こすものです。情報を整理するだけで手いっぱいになるからです。確かに最初のうちは、新しい情報を得るたびに問題の理解は深まっていくものです。新たな情報が新しい視点を提供し、思考を刺激してくれるからです。しかし、ある時点を境に情報量と思考量は反比例し始めます。
航空写真では目的地にたどり着けない
図にすると本当に大事なものが見えてきます。枝葉末節が削られ、本当に大事なものだけが浮き彫りになるのです。
例えば、航空写真。確かに現実であり、正確ですよね。でもそこから何かを読み取ることはとても難しいと言わざるをえません。情報量が多すぎるのです。あなたが、あるお店に行きたいとき、その店の写った航空写真を渡されても困るはずです(笑)。航空写真では、店への道順もわかりません。グーグルの地図か、目印となる何かが書かれた案内図があって初めてそのお店にたどり着けます。
理由は明白。地図や案内図には、大事なことだけが書かれているからです。だから、街の構造がすんなり頭に入ってきて、そのお店に行けるのです。
情報は多ければ多いほどよいというものではありません。大切なことは、本当に大事なものだけがハッキリ見えている、ということなのです。その点「図」は、大事なものをハッキリさせてくれます。
②ビッグ・ピクチャーを得られる
1枚の紙の上で考えることのもう1つのメリットは「鳥の目」になれること。1枚の紙に大事なことを描こうとすると、おのずと視座が上がり、その紙1枚がヌケモレのない全体像、つまりビッグ・ピクチャーになるからです。
ちゃんと考えるためには、今考えていることに対して影響を及ぼすすべての要素を、視野を広げて大きく捉えることが重要です。もし視野が狭いと、その視野の外にある何かが影響し、「しまった! 想定外だった……」ということにもなりかねません。
「考える範囲」=「影響が及ぶ範囲」であるべきなのです。ビッグ・ピクチャーを持てると、答えの精度は上がり、「しまった!」の数を減らせます。
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