30代バイト女性がつぶやく崖っぷちコロナ戦記 個人も企業も変われる者だけが生き残る

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今春からは、コンビニ大手のファミリマートやセブン−イレブンも、タイミーを導入している。仕事数が膨大なコンビニで単発アルバイトが成立するのか疑問なのだが、「品出しやレジ打ちなど業務内容を絞ってお願いするケースがほとんど」(タイミー)。

さらには人材派遣会社を通じて雇用することが多かった物流会社も、「コスト削減の一環で、隙間のアルバイトの比率を増やす会社が増えている」(小川社長)。コロナで求人募集が減り、買い手優勢の市場になったことで、派遣会社を通さずにアルバイト人材を確保できるようになったことも大きいようだ。

飲食店店員が出前でデリバリーする新事業

6月上旬時点で、タイミーの求人案件に占める飲食店の割合は、1割程度まで減っている。小川社長は「売上高は何とか維持している。今後は物流や小売業に続き、事務系の在宅ワークも増やしていきたい」と意気込む。タイミーのユーザーは20代以下が過半を占めており、若い労働力を求める業界との新たなマッチングが広がっているという。

2018年8月に単発バイトのマッチングアプリをリリースしたタイミーの小川嶺社長(撮影:今井康一)

一方、これまで主力だった飲食店業界とは、新たな取り組みを開始した。飲食店の店員が出前形式で届ける「タイミーデリバリー」を新規事業として立ち上げた。

構想から1カ月後の5月には渋谷区で試験導入をしている。デリバリー市場はUber Eatsや出前館が先行するが、「他社よりも手数料を抑えられるのが強み。デリバリーに不慣れな店には、容器やメニュー開発もアドバイスしている」(同)。

タイミーデリバリーは7月中に本格展開を予定しており、渋谷と六本木を皮切りに全国展開を目指している。店舗に出前スタッフがいなければ、タイミーを通して募集をかけることもできる。「タイミーの会員は日本全国に140万人いる。彼らがデリバリースタッフの母数となる」(同)。小川社長は現在23歳。立教大学4年生ながら23億円の資金調達に成功した若手経営者の1人だ。

新型コロナウイルスの感染拡大は、驚くべき速さで日本人の生活様式を変えつつある。いまだ終息の気配は見えず、長期戦になることは必至。このめまぐるしい変化に柔軟に対応できるかどうかが、個人や企業問わず、今後の明暗を分けることになりそうだ。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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