筆者は英語に慣れてしまっているせいか、「日本式」や「訓令式」をついつい英語ふうの読み方で間違って読んでしまいそうです。どうしても「フジツボ」が「ヒュズィテュボ」に、「小千谷」が「オディヤ」に見えてしまいます……。慣れの問題だとは思いますが。
富士急行線の「富士山」駅の駅名標はもちろんヘボン式(の変種)ですので、Huzisanではなく、Fujisanとなるはず!と思って調べたら、なんとMt. Fujiと英語になっていました……。これは紛れもなく英語ですよね。なのに、同じ路線の「河口湖」はLake KawaguchiではなくKawaguchikoとなっているみたいなのです。うーむ……。
拗音は読みやすさか、つづりやすさか
次に拗音を見てみましょう。
発音を考えながらローマ字を書くと、「ヘボン式」がいちばんしっくりくるのですが、音に引っ張られずに日本語のかなをアルファベットに置き換えるイメージでいくと、「日本式」や「訓令式」のほうが実はシステマティックで便利。英語とは関係なく、単に日本語をアルファベットで表記するという目的であれば、「日本式」や「訓令式」のほうが適しているのかもしれませんね。
実際の単語の例もあげてみましょう。
「くゎ」「ぐゎ」という合拗音は、19世紀の初めころには直音の「か」「が」と区別されなくなってきていたようですが、元々のヘボン式と、日本式ではこの合拗音にkwa/gwaと別途つづりをあてています。そういえば、小泉八雲(P. Lafcadio Hearn)の「怪談」はたしかKwaidanというつづりでしたね。子どものころに「なんでKaidanじゃないの?」と疑問に思ったのを覚えています。
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