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世界規模で広がる「KUMON」の底力 言葉の壁で孤立する日本に鳴らす警鐘

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  • 岡 徳之 ライター Noriyuki Oka Tokyo 代表取締役
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会社「KUMON」がまとう一体感の理由

――東南アジアでは社員のリテンションが難しいといわれていますが、御社で働く社員の勤続年数は比較的長いですね。

はい、おかげさまで、あまり辞めていく社員はいません。KUMONも仕事をする場ですから、大変なことはもちろんあります。子どもたちを指導する先生たちと共に、勉強し続けなければいけません。それでも、教室に「伸びている子どもたちがいるから頑張ろう」と思えます。そして、仕事や商品に確信を持ってもらうように社員を育てていかないといけません。その人にいかに高い能力があったとしても、「KUMONっていいな」と思える人になってもらわないとうまくいかないのです。

日本の公文では、1年目の社員には、必ず教室を運営してもらうようにしています。それがKUMONをいちばん理解できるからです。ときには、新入社員が生徒を辞めさせてしまうこともあるのです。しかし、子どもが伸びる姿を見ると「間違いない」と思える。そうやって、「教室=現場が原点だよ」と理解できるような機会を作っています。

私が入社した30年前から、指導の基本は変わっていません。しかし、「こうやったら子どもはもっと伸びる」という視点で、教材を何度も改訂し進化させてきました。経営的には改訂の回数は少ないほど負荷が小さいのですが、より子どもたちを伸ばしていくことを大切に考えているため、教材改訂は欠かせないのです。

その方法としては、指導する先生たちや、私たちが蓄積している膨大なデータから、「教材のここでよく子どもたちが辞めてしまう」という声が上がってくるため、それを基に改訂を重ねているのです。「子どもから学ぶ」ことが私たちの原点なのです。

教室に飾られている創業者 公文公氏の写真

創業者の公文公のすごいところは、「やってみよう」という精神、そして「もっといいものがある」という未完成の自覚でした。教材改訂は一見、地味に見えますが、それを愚直に続けていることが商品力の原点になっている。そういう精神が会社を作っているということを、現場を見てつねに感じています。

 

――御社にとって脅威があるとすればそれは何でしょうか。

脅威というのは特にありませんが、リスクとして考えられることは、東南アジアでは一般的に教育ビジネスに対する規制が多く、国によってはフランチャイズという形態が難しいというところもあります。そういう国に展開する場合、展開前にどれだけ調査を重ねても、制度がすぐに変わることも多く、やってみないとわからないという点があり、慎重には慎重を重ねています。私たちは教育のビジネスですから、一度、その国に教室を出したら撤退はすべきではありません。子どもが学習しているのに、儲からないから辞めますということはできません。現地で働く先生のこともありますから、ヒットアンドアウェーみたいな仕事はできないのです。

最近、教育の価値観が変わったという人もおりますが、人間は「伸びたい、進化したい、できるようになりたい」と思うのが普通のはずです。それは日本の若者も同じだと思います。アジアの伸びている国ではその気持ちがより強いと思います。

今後は、既存教室の強化と、新たな教室の拡大に努めていきます。「うちの近くにも教室を開いてほしい」というクチコミの声を、たくさんいただいていますから。

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